2003年の世界選手権で大活躍したキムヨンスクのバックハンド。フォアハンド以上に自在なボール扱いをみせる名手中の名手である。キムキョンリョンのフォームに酷似しているが、ヨンスクはキョンリョンの高校(安城女子)、ぞして実業団での先輩にあたる。
似ている部分はテイクバックの部分、アッパーサキュラーの特徴的なスイングだ。同じ韓国でも農協の選手はこのようにはテイクバックはあまりしない(エーギョンのような例外もある)。善し悪しではなく流儀とでもいおうか。ある韓国関係者は安城流、農協流みたいな言い方をしていた。フォアハンドも同様である。一口に韓流でくくるのは危険なのである。(キムチウンもアンソン出身であることも忘れてはならない。キムチウンはヨンスクやキョンリョンとおなじ安城女子高校。1年時に富山の国体強化に請われて日本に留学している)。
そのいわゆる安城流の特異な点、テイクバックは高く前(グリップが顔の前にある[16])にとり、そこで"ため"をつくっていること。いわゆるサーキュラーモーションであるが、注意することはフォワードスイングは直線的であり、かなり低い打点ながら単純なループスイング(ループドライブ)になっていない(つまりインパクト以前のラケット位置がボールより低い位置にあるわけではない)。インパクトよりスイングは上昇に転じスピンが与えられているのである。フォワードスイング直前でも右肘がうしろにいきすぎない、しかも高い位置に保持されている(しめない)事に注目してほしい)。
一見してわるかとおりここでのキムヨンスクは、シンプルでムダのないスイングが素晴らしい。下半身の強さも賞賛されよう。
踏み込みはスクエア、よくいわれるような極端なクローズドスタンスをとっていないことにも注目してほしい。こうすることで身体の開きがおさえられ、前へ前へスイングされパワーとコントロールが両立されるのである。
左画像は2005東アジア競技大会(マカオ)でのキムヨンスク。 |