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| NO.0011 |
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『強くなる軟式テニス』
当時としては珍しい連続写真を主体とした指導書。前書きに「従来、文字で表されていたものを今回は豊富な写真により説明」とある。その言葉のとおり、文字による説明がかなり抑えられ、視覚に訴えかける内容となっている。そうなるとその写真の質が問題となってくるわけだが、これが実に素晴らしい。とくに後衛技術のほとんどで模範演技をしめしている加藤選手(1969天皇杯優勝)の美しいフォアハンドはため息が出る程だ。これほどの美しさは現在は一流といえども絶滅寸前である。いったいどうしてしまったのか!!
ただ同時にとてつもなく個性的である。美しく、力強いが、同時におそろしくユニークなのだ。とにかく信じられないぐらいグリップが薄い。イースタンどころではない。かぎりなくコンチネンタルに近い。いわゆるオーストラリアンというものか?強烈な個性である。『クロスの加藤』とおそれられたそうだが、さもありなんである。
サービスはこれこそ模範的なフォーム(フットバック式、右足着地)。非のうちどころがない、というすばらしさである。加藤選手のサービスの凄さはもはや伝説であり、これもさものありなんである。編集者もよくこころえていて、後ろ、真横、前と三方向からの連続写真がある。穴があくほどみつめてほしい。
前衛技術はおもに毛利選手が模範をしめしている。とくにスマッシュが力強い。ボレーに関しては現在の日本のトップ前衛とはかなり違った技術であり、その是非は判断がつかない。これこそ模範的だ、と喝采する人も多数いるだろう。
他に百町、田島、田端の三選手のプレーがおさめられている。百町選手は世界選手権代表選手。田島・田端は社会人優勝。
解説はちょっと問題がある。グラウンドストロークにはウエスタングリップが最適、と書きながら、その模範をしめしている加藤選手は極薄のイースタンでフォアを打っている。それはもちろんかまわないが、ひとこと解説文に加えておくべきであろう。ウエスタンとはまるで打ち方が異なるからである。
成美堂出版 1976年刊 上村實著 800円
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