アジア選手権国内予選プレヴュ−

5月2,3,4日 一宮市テニス場

 今年はオリンピックイヤーである。4年に一度、ソフトテニスがもっとも肩身の狭い思いを強いられる年である。オリンピック種目であることがどれほど重要なことなのか、ちょっと簡単には判断がつかない。ただオリンピック種目でないから、そのスポーツに価値がない、なんて事は決してない。またオリンピック種目だからその種目が偉い、なんてことも決してない。なんでこの種目がオリンピックに?なんて競技もすくなくない。

 ソフトテニス界は「ソフトテニスをオリンピックに!!」をそれほど声高ではないにせよ、アピールしている。賛否両論あるようだが、僕は基本的に賛成だ。分かりやすい目標だからだ。これ以外で万人の目標と成りうる具体的なものはちょっと思い付かない。

 以前はオリンピックが大好きだった。夏も冬も。ミュンヘンの男子バレーを深夜みた記憶は鮮明だ。モントリオールの男子体操もどきどきしながらみた。でもだんだん興味がうすれてきた。ソウルでのルイスvs.ジョンソン以降、どきどきしてみた記憶がない。前回大会、どこだっけ、あっシドニーだ、もほとんど記憶にない。おぼえているのは衛星放映でみたドミニク・バンルーストのおそろしく魅力的なテニスだけ(この人はフラットの強打しかない。それだけでトップクラスまでやってきた。現在、あれほど魅力的なテニスをする女子選手はクルニコワぐらいだが、彼女はその美貌でテニス人生を棒にフってしまったようだ。彼女はその美貌がなくても記憶にのこるきわめて魅力的な選手になれたろう。残念なことだ)。テニスはオリンピック競技のなかで、もっともオリンピックらしくない雰囲気でおこなわれているので、WTAのツアーをみているみたいだった。

 イアン・ソープが予選で失格。しかし、なぜか代表決定者が出場を辞退し、なぜかソープがくりあがりでオリンピックに出場するという珍事がおこった。なんという恥さらし!!オリンピックはもうやめたほうがいいのでないか。いったいなんなのだ。恥を知りなさい、といってあげられる人はいなかったのだろうか?IOCは黙認してしまうのだろうか?オリンピックは完全に死んでいる。

 ソフトテニスのビッグな国際大会は毎年ひとつだけ開かれるが、今年はアジア選手権の年にあたる。本大会は12月にタイのチェンマイで開催。タイでビッグな国際大会が開催されるのはこれで3回めになる。本番のコートはハード(過去2回も)。当然、予選のコートもハード?じゃないのである。不思議だ。そういえばナショナルチーム合宿も、男子は砂入り人工芝で、女子はクレーでおこなっていた。ナショナルチームは国際大会と直結しているチームのはずなのだが・・・ハードコートはしかも今年だけではない。来年も再来年も国際大会はハードでおこなわれる。日本国内ではハードコートの大会はほとんどない。というか全然ない、といっていいだろう。テニスコートというカテゴリのなかでは非常にポピュラーな、とはいえなくなってきたハードだが、特に日本のソフトテニス界においては、特殊なサーフェ−スである。

2003世界選手権国別対抗決勝での劉永東(左)、方同賢。こんなゲームもあり得るのだ、という希有な一戦。方は劉永東に2連勝したあと5連敗したが、最後の最後、痛いところでお返しした。これで3勝5敗。
1998バンコクアジア五輪国別対抗決勝 韓国vs.台湾。濃厚なラリーが見られた究極のゲームのひとつ。

 ハードを嫌う人は多い。文字通り、ハードな、コートだからだろう。しかし、見る側に立ってみると、トップレベルを見る側に立ってみると、これほどおもしろいものはない。ハードコートでの国際大会が一番おもしろいのだ。正直、本大会が楽しみでしょうがない。

 昨年の世界選手権の国別対抗は、決勝だけが雨で別会場という悲惨な終わり方になり、関係者はたいへんだったが、移動したコートは、ハード(デコターフ?)で、幸運にも見られたものからいわせてもらえば最高だった。最高の試合だった。クレーからハードに変わったことで韓国のアドヴァンテージがなくなったこともおおきいが、それだけではない。遅いコートが最高の選手達の底知れない技量を限界までひきだしてしまうのである。この決勝については別項ができあがりつつあるのでそちらにゆずりたいが、過去を巡ってみても室内ハードといってよかった1999の世界選手権、1998のアジア五輪とハードコートでは究極の好試合がめじろ押しである。

 国内ではハードコートのゲームはそれこそめったにないが、1998年のアジア五輪の予選がハードコートだった。もちろん本大会(バンコク)がハードコートだからであろう。この予選会は間違いなくここ10年間の国内試合では最高のおもしろさだったと断言できる。これ以来、国際大会をのぞいて、これを凌駕する大会をみていない。今回も当然、予選にハードコートが用意されると思っていた。楽しみにまっていたのであるが、残念ながら、一宮のコートは砂入り人工芝である。

 ゲームがおもしろいかどうかは、大事なことではあるが、さておき、アジア選手権の代表を選抜する、という本来の目的からいってもサーフェ−スが違うというのは大問題だとおもうのだが、どうなのだろう。僕だけがこう思っているわけではない。いろんな立場の人に機会があればきいてみたが、皆、そういっていた。なのになぜこうなってしまうのだろう。ほんとに強い選手ならコート選ばない、とでもいうのだろうか、いいそうではある。もっともだが、ナンセンスである。

 

 女子がおもしろい。有力ペアの力が拮抗していて、熾烈な戦いになるだろう。

 第一人者は玉泉・上嶋(東芝姫路)。これは動かない。国際大会の予選会は2年連続して優勝、大変なことである。しかし、このインドアシーズンで渡邊掘越NTT西日本広島)に2連敗した。2試合とも非常に面白いゲームで次にあたるのがわくわくするほど楽しみだ。

 渡邊・掘越はリスキーなテニスをする。それがプレッシャーの強い予選でどこまでやれるか?NTTは皇后杯には過去6年間で3度優勝(右表参照)と強いが、予選での優勝はない。 皇后杯ではこの6年間に一度も勝ってないナガセケンコ−がなんと3度優勝。皇后杯で一度勝った東芝姫路が2回。このコンサバ系の2チームがすべて勝っているというのは興味深いことである。このいびつさにはなにか積極的な理由があるのか?NTTはニューウエーブである。それがただのケレンといわれないためにもそろそろこのヘヴィな試合にも勝ってみせてほしいものだ。

 

玉泉・上嶋(東芝姫路) 掘越(NTT西日本広島)
最近の国際大会予選と全日本優勝者
year  国際大会予選会  皇后杯 全日本
シングルス
参考 国際大会個人タイトル
ダブルス シングルス
2003 玉泉・上嶋
(東芝姫路)
水上・熊谷
(NTT西日本広島)
河野加奈子
(ナガセケンコー)
朴英姫・金明希
(韓国)
河野加奈子
(日本)
2002 玉泉・上嶋
(東芝姫路)
玉泉・上嶋
(東芝姫路)
水上志乃
(NTT西日本広島)
金瑞云・張美花
(韓国)
朴英姫
(韓国)
2001 予選会無し 坂下・濱中
(学連-日体大)
水上志乃
(NTT西日本広島)
水上・八谷
(日本)
水上志乃
(日本)
2000 石川・鎌田
(ナガセケンコー)
熊谷・八谷
(NTT西日本広島)
水上志乃
(NTT西日本広島)
上沢・裏地
(日本)
朴英姫
(韓国)
1999 上沢・河野
(ナガセケンコー)
沼崎・裏地
(タカギセイコー)
渡邊梨恵
(NTT西日本広島)
上沢・裏地
(日本)
王思亭
(中華台北)
1998 石川・奥
(ナガセケンコー)
米本・中屋
(NTT西日本広島)
石川聡子
(ナガセケンコー)
姜志淑・李米京
(韓国)
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念のためにいえば、私自身はケレンとか異端とか考えているわけではない。そのへんのことについては女子選抜のレヴュ−でもふれたのでここではふれない。

 大阪(全日本インドア)で玉泉・上嶋を破った渡邊・掘越を準決でしずめた河野・福田(ナガセケンコー)も大本命候補。河野の凄さは相変わらずだし、ここにきて福田の急成長が目覚ましい。ナガセの堅実さをみごとに受け継ぎ、いい意味で優等生的、模範的な技術を身につけている。

 昨年2度目の皇后杯を獲得した熊谷は新卒の大西(妹)との新ペア。未知数でダークホース的存在。ベースライナー同士のペアリングは熊谷・水上組とおなじであり、無気味な存在だ。大西はそれこそ未知数だが、その持てる能力は、昨年、旋風を巻き起こした姉以上とみる人もおり、楽しみだ。

 世界選手権代表の濱中は逢野とのペアを継続。皇后杯二位、全日本インドア優勝の堂々たる成績。いづれも河野・福田を破っている。逢野は女子選抜で新一年生の加藤とのペアで決勝トーナメント一回戦で敗れたものの、なかなかしぶといテニスで成長をみせた。濱中次第で十分に代表あらそいに絡める。

熊谷(NTT西日本広島) 逢野(学連-日体大) 辻(東芝姫路) 福田(ナガセケンコ−)

 男子は中堀・高川と他のペアとの距離が遠すぎる。ここずうっと中堀組が圧倒的な存在で、これを繰り返し書いて来た。バンコク以降、日本男子はかなり意志的に若返りを謀ってきたわけだが、それはいまのところうまくいっているようにはみえない。それが顕著にでたのが昨年の世界選手権だった。

 今回の予選も中堀・高川が間違いなくダントツの優勝候補。昨年は予選会にはでず、天皇杯は中堀のコンデション不良で早期敗退とイメージがあまりよろしくないし、世代交代期などとつまらないことをいう軽薄なやからもいるかもしれない。ぜんぜんそんなことはない。全日本シングルス、全日本社会人、そしてインドアの連勝とタイトル数だけみても全盛だ。マイナス要素があるとすれば、コンデションだけだろう。

 テニスは複雑なゲームだ。経験値がおおきくものをいう。僕はベテランの円熟を愛する。若さや勢いもそれは爽快だが、コクがないのはつまらない。若手は実力で中堀・高川を凌駕してほしい。現時点でそれだけの力を備えているのは残念ながらいない。技術も経験も及ばない。中堀・高川がはるかにそびえたつ。文字通りの第一人者だ。

最近の国際大会予選と全日本優勝者
year  国際大会予選会  天皇杯 全日本シングルス 参考 国際大会個人タイトル
ダブルス  シングルス 
2003 花田・川村
 森田・香川 
中堀成生  金法顕・方峻煥 
韓国
方峻煥
韓国
2002 中堀・高川
浅川・小峯
岩永淳 李源學・劉永東
韓国
金耿漢
韓国
2001 予選会無し 中堀・高川 中堀成生 中堀・高川
日本
方峻煥
韓国
2000 平山・土師
北本・斎藤
中堀成生 平山・土師
日本
方峻煥
韓国
1999 中堀・高川
中堀・高川
小峯秋二 謝順風・陳信亭
中華台北
金耿漢
韓国
1998 北本・斎藤
玉井・紙森
中堀成生 郭旭東・方同賢
中華台北
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高川 中堀

 予定調和をのぞんでいるわけではい。決してない。それほど溝ができてしまったことをなげいている、それだけである。ソフトテニスは短期決戦なので、実力でとびぬけていても、実力通りにはいかない例がよくある。若手の果敢なチャレンジを期待したいが、はやく並び立つだけの実力をそなえてほしい。テニスは相手がいないとできない。現状は中堀・高川の相手はいない。彼らは胸をかしてやっているだけだ。

 
浅川・小峯

一昨年のすごい勢いからすると現在は失速気味。飛躍を期待したい。

花田・川村

昨年の予選一位。天皇杯準優勝。 社会人、全日本インドア三位。成績では現在2番手候補、中堀・高川の対抗馬である。社会人、全日本インドアともに中堀・高川に敗れている。

森田

天皇杯での圧勝振りはすごいのひとこと。あのあたりなら予選突破はありうる。みてみたい。ベテランらしい、落ち着いたゲーム振り、マナーもすばらしい。若い選手はみならってほしい。

鬼頭

久々の大物後衛の予感。ボールの威力はすでに超一流だ。どこまでやれるか?

東・渡邊

東の世界選手権国別対抗でのシングルスにはがっかりした人がおおかった。巻き返しを期待したい。渡邊を高く評価する人は多数。古き時代のよき雰囲気をのこした『らしい』前衛だ。ルール変更でそのくろうと受けするテニスがさらに映えるか?