国別対抗戦プレヴュ−

 

 台湾が強いと思う。日本、韓国、台湾の三強のなかで、際立って若い集団だが、メンバー6人中4人が国際大会経験者であり、その4人とも国別対抗での優勝を経験している。日本で国別対抗の優勝を経験しているのは2人(中堀・高川)。韓国は3人(金煕洙、黄晶煥、方峻煥)である。出場経験者となると日本は4人だが、花田・川村は国別対抗のメンバーではない。韓国は先の3人。

世界選手権国別対抗での王俊彦・趙士城。新時代のテニスをみせてくれた。

 台湾が国際大会で初優勝したとき、名古屋での世界選手権(1985)だが、やはり大学生中心のめちゃくちゃに若いメンバーだった。このときの日本代表はベテランばかりで臨み、完敗。これが決定的に日本のその後を変えてしまう。やみくもに若返りはかるようになるのである。それはまた別の話だ。

 今回の台湾チームと当時のチームの違いは、当時のチームには黄建賓という大ベテランがいたこと。昨年の世界選手権での台湾も若いチームだったが、方同賢というベテラン(場数を踏んだという意味)がいた。今回その立場になるとしたらそれは劉家綸だが、いかにも若い。どうなるだろうか?ただ先も書いたように今回のメンバーはただ若いだけではない。頂点をすでに知っているキャリアのある若さなのである。もちろんそれがマイナスに働くこともあるだろう。

 台湾有利の根拠の続き。地理的条件。日本、韓国からチェンマイは遠いが、台湾からはそうでもない。気候、食事等もかなり近い。

 さらにコートがハードということ。台湾ではクレーとハードの比率が半々とのことで、クレー一辺倒の韓国、それほどでもないが、ハードは全くなしといっていい日本(予選さえハードでできなかった)とはやはり違う。

林朝章のカット。廖南凱タイプでもない方同賢タイプでもない、今までにないタイプのカットだ。スイングの大きさが理解を越えている。

 ハードといえばカット。間違いなく台湾はカットフル装備でくるだろう。昨年の台湾国体の時に「王俊彦や林朝章はいい選手だけどサービスがもの足りないね」と方同賢にいったら、たしかに、とうなずいたあと、「彼らはずうっとカットだからね」といっていたのを思い出す。その台湾国体も世界選手権もクレーだったので、ほとんどカットはつかっていなかった。しかし(世界選手権の)国別対抗の決勝やハードでおこなれた個人戦シングルスの序盤でみせた林のカットは半端ではない切れ味であり、10センチはずまない、なかには5センチに満たないのではないか?なんてのもふくまれる、とんでもないものだった。近年、日本にもカットがようやく浸透し、カットの名手もあらわれたかに見え、我々も「台湾並みのカットだな」なんて評価したりしていたのだが、それをあざ笑うかのような真正の台湾カットを林朝章はみせたのである。

 個人戦のシングルスでの林は国際大会初出場ということもあってガチガチで、しかもそれに勢いずいたハンガリーの選手に大きくリードをゆるし、あわや、というところまでいってしまうのだが、そこで彼は「しょうがないや」、といった風にカットを使いだし、それがまたすごい確率で、ファーストがはいるとかいうことではなく、セカンドも信じられないような切れ味であり、そのリラックスに驚愕した。ハンガリー選手に大逆転とかではなく、きわめてデリケートなショット、センシティブなタッチを要求されるカットがこのようなシーンで最高の成果を出したことにおどろいたのである。本物のカットであった。職人的な錬磨をへたカットであった。

台湾の予想オーダー
a 1 林朝章・李佳鴻
2   劉家綸
3 王俊彦・趙士城
b 1 林朝章・劉家綸
2   林舜武
3 王俊彦・趙士城
c 1 林朝章・劉家綸
2   林舜武
3 王俊彦・李佳鴻

 王は林ほどの切れはないが、今回はちゃんとしあげてくるであろうし、他の選手も同様だ。特にサウスポーの李と趙はいやらしい。昨年時点での趙のカットはそれほどでもなかったが。

予想オーダー

 台湾は長期の予選、そして長期の合宿をおこなっており、その内容が当然、反映されるであろうから、予想は難しい。この予想も昨年の世界選手権に準ずるものだ。ダブルスはだいたいこんなもの(表a)だという気がするが、シングルスが難しい。劉家綸にしたのは方峻煥や高川との決戦がみていみたいという興味も多分にある。ただ劉家綸はシングルス予選を勝ち抜いた李佳鴻をおさえて個人戦のシングルスにエントリーしており、シングルスの中心という雰囲気ぷんぷんである?。1番の前衛が劉家綸になり、2番のシングルスが林舜武というのもありだ。李は個人戦がミックスになった時点でシングルスはない気がする。表b

 表cは僕だったらこうする、というオーダー。林舜武をみたことがないので、不安だが、劉家綸の迫力はトップにこそ相応しい。趙士城をはずしたが、現時点では李のほうがすべてにおいてうわまわっている、と考えている。ただ表aのオーダーのように両翼のネットプレイヤーがサウスポーというのはおもしろい。多分日本もそうなるが・・・

黄晶煥。東アジア五輪より。ベースライナーとしてはネットプレー世界一。どんなテニスをするか?

 韓国は劉永東、金耿漢の引退でフォワードの弱体化は否めない。シングルスの方峻煥は動きそうもないので、パターンも限られてくる。トップにエース、というのが最近のパターンで、それなら黄晶煥・金煕洙がトップの表aパターンになる。

 黄晶煥はエースというよりはスーパーサブ的な選手であり、韓国の大将という迫力に欠ける。逆にいえば黄晶煥が3番につかえるようなチーム力なら韓国はそうとうに強いし、今回の大本命ということになる(ハードコートという条件を抜きにしてのはなしだが)。

 金裁福はバックの名手であり、いい選手だが現時点では線が細い。大邱カソリック大学でも三番手くらいか?大混戦の予選を経て代表になったことで勝負強いことは強いだろうが、今回は団体メンバーとは考えにくい。

韓国の予想オーダー
a 1 黄晶煥・金煕洙
2   方峻煥
3 徐教源朴昌石
b 1 徐教源・金煕洙
2   方峻煥
3 黄晶煥・朴昌石

 徐教源はダブルス予選、シングルス予選共に2位。この結果は昨年の金法顕なみの実力を予想させる。そう、とんでもない後衛の可能性大である(韓国にはうじゃうじゃいるが)。徐教源をみたこともないが、韓国男子の層の厚さはとんでもないものだし、その実力は想像可能である。それは昨年金法顕の出現が証明してくれている。ただハードコートでも金法顕並みの可能性も大(金法顕はハードでガタガタになった--牙次回参照)。

 黄晶煥は8年前のバンコクでのアジア選手権に出場している。そのときもハードコート。やはり黄晶煥がエースか。ちなみにその8年前のバンコク大会にでているのは他には中堀・高川だけである。

c 1 黄晶煥・金煕洙
2   徐教源
3 金裁福・方峻煥

 一番のフォワードは金煕洙で決定だろう。シングルスは今回はありえないし、三番ももっとありえない。

 方峻煥のシングルス、先に書いたように動かないとついいままでおもっていたが、ほんとうにそうか?表cのようなパターンもありえるのではないか?いやあ、こうやって予想している大会前はほんとうにたのしい。大会がはじまらないでほしい!?はじまれば超絶美技と圧倒的な迫力にあっという間に、ほんとうにあっというまに、夢のように過ぎ去ってしまう。

 話しをもどそう。朴はどうか?大邱カソリック大学の2番手、昨年はシングルスもこなしていた。今年の王座ではあっとおどろくダブル前衛で同志社戦を戦った。あなどれないと思う。国際大会初出場とはいえ、2度の王座出場で経験もつんででいる。トップは無理でも三番なら他国に一歩もひけをとらない。ただ、昨年三番をつとめた金耿漢とはくらべられない。彼は学生枠での出場であり、くらべるのはかわいそう。春のアジアカップに来日した順天市庁をみた人はわかるとおり、韓国には好前衛が乱立している。今回の韓国は自らハンディを背負った。

 韓国は実質プロフェッショナルな選手の集団である。彼らがルール改正後、どういうテニスを志向していくのかは非常に興味深い。今夏にやってきた大邱カソリック大学は意外に保守的なテニスで正直がっかりした。昨年のほうがずうっとすごかった。今回はどうなるのか?

1 中堀・高川
2   菅野
3 花田・川村

 日本のオーダは右表でほぼきまりだろう。手薄な感は否めない。一番の中堀・高川は決定的。菅野は予選2位、シングルス2位と実績をつんでいるが国際的には全く未知数 。期待したいし、ハードコート向きのテニスだとおもうが。

 花田・川村は国際大会は2年連続の出場だが、昨年は団体戦のメンバーに入れなかった。昨年の予選一位。天皇杯二年連続準優勝等、素晴らしい成績であり、これ以上ない最強の三番におもえるが、花田の時折みせるメンタル的な弱さが気掛かりである。不利なジャッジのあと、不可解な崩れ方をすることがおおく、不安が残る。

高知世界選手権予選(2003,5)での花田

 高川のシングルスという可能性もあるが、彼のシングルスは魅力的だがリスキーであり、やはり一番のダブルスだろう。もちろん、中堀・高川とて絶対ではないわけだが・・・

 こうしてみると日本もバランスがとれていない。それは他国も同じではあるが、そんななかで台湾が一歩でている気がやはりする。準決勝であたると予想される韓国と台湾は、韓国が勝つなら2-0。三番にまわったら台湾有利。その勝者と日本の決勝。楽しみである。

1 玉泉・上嶋
2   河野
3 渡邊・掘越

 女子は日本が充実。掛け値なしに優勝候補である。釜山、広島と連勝した韓国はメンバーがごっそり抜け、未知数の無気味さはあるが、まず戦力の大幅低下は否めない。韓国は男子は分厚いトップ層があるが、女子はどういうわけかそうでもないからだ。

台湾の簡佳玉。カットサーブのかまえ。まるで卓球選手のようだ。2003台湾国体より。

 台湾のほうが今回は警戒すべきだろう。ハードコートでの台湾女子は1996年のアジア選手権個人優勝、1999年の世界選手権国別対抗優勝とそれこそ無気味である。昨年もあの韓国にもう少しで勝ちそうになった。個人戦では大人しかった彼女らのハードコート上での豹変ぶりにはおどろいたものだ。男子とはちがってベテラン(といっても若いが)ぞろいであり、それもなにかいやな?感じである。まあ日本が勝つとおもうが・・・・

 台湾はベースライナーが5人。ネットプレイヤーが1人という超変則編成。メンバー発表のときも書いたように、これは1999年の世界選手権優勝のときの編成と酷似している。あのときはルールが違ったので、3ダブルスのうち2つが雁行陣だったわけだが・・・ただ台湾女子がベースライナーばかりを代表に選んでいるとか、そういうテニスを志向している、というわけではなくて、いいネットプレイヤーがなかなか育たない、というのが実情である。台湾がテニスを始めるのは小学生からだが、その段階で勝利にこだわりすぎ、どうしてもダブル後衛が増えてしまう、と廖南凱は嘆いていた。

 日本は昨年のメンバーからは辻がぬけ、渡邊・掘越がはいった。渡邊・掘越の今年のテニスがすばらしいもので、玉泉・上嶋との強力2枚看板スターになった。コートサーフェ−スを考えると渡邊・掘越が今回のエースといっても過言ではないかもしれない。ただ国別対抗の経験はないので、そのへんがどうか?