まったく様変わりした、といえる今大会。いったいどうなるのか?予測は困難だ。

 1.日程の逆行。2.国別対抗戦の競技法の大幅変更。3.シングルスの特別ルールでの開催。4.すべての種目がワンデ−トーナメント。以上の4つが主な特徴だが、1以外は歓迎できない。

 まず2、以前も書いたがこれが前例となってほしくない。なぜ今回の方式に変えたかは、3人でも団体戦に参加可能なように、との配慮からだと聞いているが、それが競技自体の面白さをそこなってしまうことを懸念する。早い話、中堀・高川が、あるいは劉永東が3番にいたとして、彼らにまわらなかったらどうするのだ。国際大会は当分、日本では開かれない。劉永東のファイトが国内でみられるのは最後かもしれないのだ。国際大会での中堀・高川が国内でみられるのは最後かもしれないのだ。国際普及も大切だが、それだけではない。競技としての質をあげること、維持することを見失ってはいけない。来年のアジア選手権では以前の姿にもどることを切望する。

 シングルスでの特別ルール採用は言語道断ではないか。新ルールとはいいたくない。あくまで新ルール案ではないのか?世界選手権で試運転するというのか。にわかには信じ難い。現行ルールは10年かけてじっくり成熟し、昨年のアジア五輪の男子決勝金煕洙vs.金耿漢の超絶的なテニスを現出するに至った。韓国男子はほんとうにとんでもないところまでいったのだ。それがほとんど人目にふれることもなく幕が強引に引かれようようとしている。残念である。現行シングルスは他のラケット競技と比較してソフトテニスのシングルスとしてユニークな存在になりつつあったのだ。新ルールにも可能性はもちろんあるが、硬式テニスと同じルールでユニークさをアピールするのは困難だ。ダブルスもそうだがユニークであることが発展、独立へのキーなのだ(このままでは従属である)。あまりに硬式テニスよりな今回のルール改正は卑しさを感じる。まあ楽しみでもあるのだが・・・

 4は観戦するには好都合だが、たった4日間で4年に一度の祭典が終わってしまうのは実にあっけないし、なんとも軽い。それに選手はたいへんだ。種目はふえているのだから。前回大会はひとり最大2種目にしかでられなかった。それで大会は5日間だった。今回は4種目エントリーできて、4日間である。無謀な気がする。いろいろ事情はあるのだろうけれでも。

 昨年の釜山で圧勝した韓国だが、今年はどうだろう。ボールの違い、大会の格の問題もあって、当然、同じようにはいかない。日本ボールだってアジア五輪であったなら充分な強化をしてくるのだが、世界選手権は単独の国際大会なのでなかなか難しいようだ。前回の台湾大会では10日程しか台湾ボールをつかった合同合宿はできなかった(全寅修談)。今回も10月半ばまで韓国の総合体育大会(国体)があり、このへんの事情は昨年の日本チームと酷似している。しかし日程的には韓国有利である。得意のシングルスからはじまり、ミックス→ダブルス→団体とすすむ日程は体力には何の問題もない彼らにはラッキーだ。2001の大阪や佐賀でも大会後半は調子があがっていたのだ。

国体といえばこの時期、韓国も台湾も日本もすべて国体があり、韓国が15日に終了、台湾は23日に終了、日本は29日に終了となる。韓国は24日、台湾は27日に来日し、直前強化合宿に入っている。またもや日本はおくれをとったとはいえ、今回は日本ボールであり、昨年ほどのデメリットはないといえよう。ただスケジューリングに問題があるのはたしかである。

 ただ李源學と金耿漢はどういうわけかだんだんわるくなっていった。金耿漢に昨年話しを聞いたときは彼の日本ボール、そして中堀・高川へのコンプレックスは相当なもので、それがあの圧倒的な勝利のあとのパーティー中の談話だけに、おいおいだいじょうぶかよ、と心配?になった。

 李源學は佐賀、大阪での対日本戦、個人戦もふくめて一勝もできず、なさけないかぎりだった。釜山では日本戦の初戦、中堀・高川に圧勝したあと、手にもっていたボールをラケットで思いきり地面にたたきつけた。やっと勝った、そんな万感のこもった動作だった。パートナーは劉永東である。今回は予選で金耿漢と組んだ(これが本来のペア)。しかし本番は再び劉永東と組む。逃げ場のないペアリングである。李源學の成長はほんものか、広島でそれがわかる。

 一方で日本戦に大阪で4勝0敗だったのが金煕洙。釜山とあわあせると、7連勝の彼は今回代表落ち。日本にとってこれは歓迎すべことだが、見る側からするとつまらない。もし今回のチームに黄晶煥・金煕洙がいたら韓国は圧倒的優勢だったとおもう。

 団体戦にでてくると予想されるのは金耿漢、劉永東、李源學、金法顕、呉成栗が可能性大。しかし団体のエントリーは6人なのでその結果次第では金耿漢と方峻煥が入れ替わるだろう。このへんの駆け引きは非常におもしろそうだ。初日のシングルスから団体戦ははじまっているのだ。

 シングルスには多分ベースライナーをつかってくるだろう。ほぼ予選一位の呉がくるとみて間違いない。劉永東が一番か3番かは難しい。予測不能。これもシングルスの結果待ちではないか。個人戦シングルスで韓国が圧勝すれば、劉永東は3番なんてオーダだったら韓国の100%勝ちだ。日本も台湾も一番にエースペアを持ってこないわけにはいかないからだ。シングルスが絶対で3番に劉永東がいれば韓国の勝利は間違いない。

 劉永東は世界選手権は2度めの出場。まだ優勝はない(団体銀、ダブルス銅)。国際大会には8度目。8人以上の違った後衛と組んできたが、デヴュ−戦はともかく、それぞれ実績をのこしてきた。本来のペアである田弦基と組んだとき以外はすべて優勝という結果であり、金耿漢も金煕洙もだれも勝たせられなかった李源學を勝たせたのは記憶に新しい。彼はまさに別格なのだ。素晴らしかった釜山での劉永東。しかしあまりにも圧倒的すぎた。廖南凱戦、黄晶煥戦以外はまるで練習ゲームのように軽々ポーチを決めた。まさに朝飯前のプレーだった。今回はそうはいかない。アウエーしかも日本ボールだ。彼の底力をひっぱりだすのは誰だろう。楽しみだ。ボールといえば御存じのとおり今年から日本ボールはかなり質がかわっている。固く重くなった。これは韓国にマイナス材料。台湾にはプラス材料。

ソフトテニス全体としてはマイナス材料。軽く扱いやすいのがソフトテニスの特徴なのだ。硬式に近付けてどうする、といいたい。不安定さつまり品質の悪さをかんがえなければ、韓国ボールが理想に近いとおもう。台湾は準硬式ともいえるボールでソフトテニスらしくない。これは日韓台のローカル試合をみてきた実感だ。そういうことを比較研究の上、ボールの品質向上をはかっているのだろうか?どうもそうではないようである。かたく重く、ではなく、やわらかく軽くすべきなのだ。とにかくすぐに韓国の大会を見に行きなさい。

 女子。韓国、日本、台湾とも釜山でのエース級が代表からはずれた。

 王(台湾)は引退。昨年の釜山終了時点で来年はもうでない、といっていた。シングルスのルールが変わるので出てくれば圧倒的だったろうし、すすむべき道をしめしてくれたろう。

 韓国のエースは、釜山では金瑞云だった。しかしダブルス予選、シングルス予選とも今一歩の結果に終わり、代表落ちした。非常にシビアだ。

 日本の水上は釜山では文句なしのエース。以前も書いたが彼女なしでは日本は優勝どころかメダルさえもあやうかった(結局は銀メダル)。今回の代表落ちはちょっと信じられない気持ちだ。たしかに予選はよくなかったが(八谷は2位だが)、それをおぎなってあまりある実績と実力の持ち主だからだ(皇后杯には見事優勝した。そういえば男女とも代表外の優勝だ)。金瑞云の予選落ちとはちょっと意味がちがう。彼女抜きで世界選手権をたたかおうというコーチ陣の勇気には感嘆する(これは皮肉でもある)。

今回の選考はいままで以上に主観が強くうちだされおり、監督のチームという印象が強い。何度も書くが、あまりいい傾向ではない。テニスは基本的に個人競技だからだ。特に今回は個人戦で賞金がでる。このような大会で今回のような選手選考法はどうにもなじまない。違和感がぬぐえない。個人の集団のとしての団体なのだ。勝ちあがった選手を団体でどうつかうか、そこで監督の手腕が問われるべきではないか。