打球速度に関する報告

楠堀と申します。大学院学生で、ラケットスポーツの研究に従事しているものです。
「ソフトテニス野郎」さんが、以下のようなことを書かれていました。
この点に関しては、幾つかのデータと、それらの結果から考えられることがあるので、報告したいと存じます。
ソフトテニスの打球速度に関する報告は、以下のものがあります
渡辺俊彦・池上康男(1977)
テニスの科学(1)-軟式と硬式の力学的相異-。新体育47(8)、674-676
渡辺らの報告によると、ソフトテニス、テニスのフォアハンドにおけるインパクト直後の打球速度は、それぞれ45.7m・s-1、31.8 m・s-1、バックハンドではそれぞれ36.1m・s-1、27.8m・s-1となっていて、ソフトテニスの打球速度の方が高いように思われます。
私がもっているデータでも、ソフトテニスでは41m・s-1くらいです。硬式テニスでは報告が多いのですが、35m・s-1以下となっているようです。
しかしながら、これらの結果には、打球する前の送球されたボール速度自体の高低が、打球速度に影響すると考えられるので、絶対的なものとは考えられないと思われます。おおむね、打球直後は、ソフトテニスの方が速いであろうということは言えるかと思います。
次に、ゲーム中のグラウンド・ストロークにおけるインパクトからインパクトまでの時間を計ってみました。これは簡単なことですので、皆さんもやってみて下さい。通常の家庭用ビデオでは、1秒間に再生されるコマ数は、30コマですので、インパクトしてからインパクトするまでのコマ数を数えれば、簡単に測定できます。
この結果では、硬式テニスの方が時間間隔は短く、女子では統計的に差がありました。この結果もしかしながら、コートサーフィスの影響をかなり受けますので、一概に比較は出来ないのですが、当方が比較したものは硬式はハードコート、ソフトは砂入り人工芝コートでした。一応これらの結果を受入れるとして考えてみると、やはりソフトテニスのボールは、打球直後は速いのですが、インパクト時にはかなり減速されると思われます。インパクトからバウンドまでは両者にそれほどの差はなかったので、ソフトテニスの場合、バウンドによる減速がかなりの比重を占めます。恐らくネット上を通過する時点ではソフトテニスの方が速いのかもしれませんが、データはありません。
以上のデータから言えることは、ソフトテニスの方が速いとは言えないということでしょうか。昨今の硬式テニスの技術的進歩(例えばバックハンドによるライジングショット)などからみても、ソフトテニスはうかうかしていられません。先日「テニス学会」というところに行って参りましたが、硬式テニスの関係者の方は、ソフトテニスのグリップとバックハンドの打ち方に随分と興味を持っているようでした。硬式テニス界では、バックハンドの高い打点で打てるかどうかが世界へ飛立っていくためのひとつの目安になっているようで、そのためにはソフトテニスの技術に学ぶ必要があるのではないかと言われていました。この話を聞きながら、当方は少しばかり寂しくなりました。 皆様の御意見が活発になることを期待しております
質問などございましたら、御連絡下さい。ソフトテニスのデータはまだ少ないのですが、少しずつ開示しようと考えています。
「ソフトテニス野郎」さんが、以下のようなことを書かれていました。
速さでは硬式にひけをとらないし(何かの機会に科学的にどちらが速いか実験できないでしょうか)
この点に関しては、幾つかのデータと、それらの結果から考えられることがあるので、報告したいと存じます。
ソフトテニスの打球速度に関する報告は、以下のものがあります
渡辺俊彦・池上康男(1977)
テニスの科学(1)-軟式と硬式の力学的相異-。新体育47(8)、674-676
渡辺らの報告によると、ソフトテニス、テニスのフォアハンドにおけるインパクト直後の打球速度は、それぞれ45.7m・s-1、31.8 m・s-1、バックハンドではそれぞれ36.1m・s-1、27.8m・s-1となっていて、ソフトテニスの打球速度の方が高いように思われます。
私がもっているデータでも、ソフトテニスでは41m・s-1くらいです。硬式テニスでは報告が多いのですが、35m・s-1以下となっているようです。
しかしながら、これらの結果には、打球する前の送球されたボール速度自体の高低が、打球速度に影響すると考えられるので、絶対的なものとは考えられないと思われます。おおむね、打球直後は、ソフトテニスの方が速いであろうということは言えるかと思います。
次に、ゲーム中のグラウンド・ストロークにおけるインパクトからインパクトまでの時間を計ってみました。これは簡単なことですので、皆さんもやってみて下さい。通常の家庭用ビデオでは、1秒間に再生されるコマ数は、30コマですので、インパクトしてからインパクトするまでのコマ数を数えれば、簡単に測定できます。
この結果では、硬式テニスの方が時間間隔は短く、女子では統計的に差がありました。この結果もしかしながら、コートサーフィスの影響をかなり受けますので、一概に比較は出来ないのですが、当方が比較したものは硬式はハードコート、ソフトは砂入り人工芝コートでした。一応これらの結果を受入れるとして考えてみると、やはりソフトテニスのボールは、打球直後は速いのですが、インパクト時にはかなり減速されると思われます。インパクトからバウンドまでは両者にそれほどの差はなかったので、ソフトテニスの場合、バウンドによる減速がかなりの比重を占めます。恐らくネット上を通過する時点ではソフトテニスの方が速いのかもしれませんが、データはありません。
以上のデータから言えることは、ソフトテニスの方が速いとは言えないということでしょうか。昨今の硬式テニスの技術的進歩(例えばバックハンドによるライジングショット)などからみても、ソフトテニスはうかうかしていられません。先日「テニス学会」というところに行って参りましたが、硬式テニスの関係者の方は、ソフトテニスのグリップとバックハンドの打ち方に随分と興味を持っているようでした。硬式テニス界では、バックハンドの高い打点で打てるかどうかが世界へ飛立っていくためのひとつの目安になっているようで、そのためにはソフトテニスの技術に学ぶ必要があるのではないかと言われていました。この話を聞きながら、当方は少しばかり寂しくなりました。 皆様の御意見が活発になることを期待しております
質問などございましたら、御連絡下さい。ソフトテニスのデータはまだ少ないのですが、少しずつ開示しようと考えています。