上原絵里
UEHARA Eri 
(日本)

国際大会出場2回。2006アジア五輪国別対抗銀メダル、2007世界選手権国別対抗銀メダル ミックスダブルス銅メダル。2007中山盃国際大会ダブルス優勝、シングルス優勝。

2006全日本社会人選手権優勝、2007全日本東京インドア優勝、2007世界選手権国内予選第一位。2008世界選手権権 ミックスダブルスベスト4 2008アジア選手権ダブルス優勝

ジュニア時代から大きく注目されていた逸材。間違いなく『上原の時代』を創るだろう。プレースタイルはベースライナー。ナガセケンコー所属。

GROUND STROKE FOREHAND
グラウンドストローク/フォアハンド
1 2 3 4
6 7 8 9
11 12 14 15
17 18 19 20
22 23 24 25
27 28 29 30
32 33 34 35
37 38 39 40

高い打点でのクロスシュート(順クロス←→順クロス)。

 大きな踏み込み、スムーズなウエイトシフト、シャープなスイングとゲーム中とは思えないほど理想的な打球フォームである。

 テイクバック(3〜15)はシンプルなホリゾンタル。テイクバック完了と前後して踏み込み(フロントステップ)が始まり、それが終了と同時に左手に先導されるような風に上体が回転をはじめている(18〜)、19〜24の胸の張りが素晴らしい、同時に重心がぐぐっと前に移動し(ウエイトシフト)、回転軸を、踏み込んだ、左足の上に誘導している。

 17から始まったボディターンだが、ラケットヘッドは、そこから円運動というよりは直線的にインパクトに向かって振られていくのが、この動画ではっきりみることができる(左画像参照)。ここで見られるようなヘッドの遅れを相手前衛との駆け引きでしか語らないことがあるが、もっと根本的な、というかボールを打つ上での基本中の基本の動きであることを再確認しよう。

インパクトは25と27の間。おそろしく前である。もっともスイングスピードのあがった、俗にいうなら体重の乗り切ったポイントでボールをぶっ叩いている。理想的なインパクトポイントである。何度も書くが、これがすべてではないが、こういう形で打てることが重要なのである。

フォワードスイング〜インパクト〜フォロースルーと大きくボディ−ターンしていくが、顔はボールを注視し微動だにしない風である。この顔を打点に残すことは、きわめて重要なことで、そのことは無用な身体の開きを抑え、いわゆる壁をつくり出し、スイングスピードの加速を促進し、パワーを前へ前に開放していくのだ。

上原のフォアハンドグリップ。ごらんの通りのセミウエスタン。しかもかなり薄め(つまりイースタン寄り)。現在の女子選手のなかではもっとも薄い握りだろう。
 

上原は従来の女子グラウンドストローカーのイメージを覆すような存在である。告白してしまえば、男子を別にして、現在みていてもっとも楽しいのがこの上原のテニスである。いったい次はなにするのだろうとわくわくする。といっても、それはゲームメイクとかそういうことでなくて(それも見事だが)、もっと本質的な問題、ボールの扱いかたそのもの、ボールの処理そのものにある。平たく言えば、ショットがバリエーションにとんでいるのだ。そのラケットワークの多彩さは、女子では、現在過去を通じて比較できる存在すらいない。まるで男子、それもひとにぎりのトップクラスの男子のような自由自在な『ラケットさばき』である。凄い選手がでてきたものだ。

9月の世界選手権で彼女はミックスダブルスで銅メダルという結果をだした。もちろんこれは序の口まだ始まったばかりである。まだ上原については多くを語りたくない・・・

↓2007年3月の中山カップ国際大会(台湾台中市)。上原はシングルス、ダブルス(ペア濱中)に優勝している。