キムチウン
KIM Ji-Eun 김지은
(韓国 NH BANK)

韓国女子のエースベースライナー。ジュニア時代に来日、インターハイに個人優勝。その後日本の実業団タカギセイコーの所属に。全日本インドア優勝、皇后杯準優勝等、トップで大活躍、日本代表として2003年世界選手権に出場した後、2004年に帰国。韓国のトップ実業団である農協中央会の所属に。2004年からは韓国のエースとして国際大会に出場という特異なキャリアをもつ。2004年アジア選手権ミックスダブルス準優勝、国別対抗準優勝、ダブルス準優勝。2005年東アジア五輪 国別対抗準優勝。シングルス準優勝、ダブルスベスト4。2006アジア競技大会国別対抗優勝、ミックスダブルス優勝。2007世界選手権国別対抗優勝、シングルス優勝、ミックスダブルス優勝、ダブルス3位。(2009追記)2006アジア競技大会 ミックスダブルス優勝、国別対抗優勝。2007世界選手権 シングルス優勝、ミックスダブルス優勝、国別対抗優勝、ダブルスベスト4。2008アジア選手権 国別対抗湯商、ミックスダブルス優勝。

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GROUND STROKE FOREHAND
グラウンドストローク/フォアハンド
1 2 3 4
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 世界チャンピオン金智恩(キムチウン)の高い打点からの逆クロスフォアハンド。フォアハンドのひとつの究極の姿があるといっていい素晴らしいフォームだ。

 2~16がテイクバック。 最近の韓国女子には珍しいあまりループさせないオーセンテックなテイクバック。 軸足の決定と、(肩のターンを伴った)テイクバックの完了はほぼ同じ(13-14)。非常に大きなテイクバックでこれも韓国選手としては例外的であろう。ただこれは2005年のフォームであり、現在はもう少しコンパクトになっている。

 踏み込み(15~)はややオープンで標準的。踏み込まれた左足にぐぐっと体重が乗っていく様をよくみてほしい(18~22)。22、23では完全に体重が左足に乗り、見事な上体の回転を引き出している。テイクバック完了時とフォロースルー完了時では上体の向きが180度ちがっている。

 ラケットは想定打点の真後ろにセットされ(16)、そこから一直線に振り抜かれる。

フォロースルーにおいてもスイングはほとんどアップしておらず、スピンは意識されていない、フラットな、スピードボールになっている。 25以降ラケットフェースが巻き込むように処理されているが、これはスピンではなくヘッドスピードの加速に還元されている。

 韓国的でない部分を2点あげたが、これはやはり彼女がジュニア時代日本で競技生活を送ったことと無縁ではないだろう。 土台はまぎれもない韓流の選手だが、成長過程で日本ボールを使用することで、独特の個性がうまれたのである。いわばハイブリットなのだ。

さらに一例をあげると、終始、上体がスクっとおきているのが素晴らしいが、これは韓国では異端とされていたと彼女自身が私に語ったことがある。

これも韓国ボールにくらべてよくはずむ日本ボールで育ったからこそである。 御承知のように2003年以降、高校生以上は韓国でも日本ボールを使用するようになり、低い弾道のボールに特化したやや前屈みなフォームからもっと上体を起こした形も推奨されるようになったようだ。

金智恩のフォアハンドについてはこちらも御覧ください(グリップ解説付き)

2007世界選手権シングルス決勝での金智恩。いずれも逆クロスを打ったものだ。

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