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金瑞云・劉永東。ミックスでは金瑞云が不調だったが、 朴・金戦ではヨンドンが大爆発、朴のボールを追いまくり叩きまくった。試合後、朴英姫は大泣き、それを劉永東が慰めるという光景さえみられた。
 まずミックス・ダブルスの予選から始まった.

 予選は順調に勝ちあがり,朴英姫(パクユンヒ)・金煕洙(キムヒースー)組は,準決勝で金瑞云(キムスイウン)・劉永東(ユウヨンドン)組と対戦した.

 金瑞云・劉永東組は準々決勝で日本の辻・小峯組と対戦し,ファイナル・ゲームで切り抜けていた.
 金瑞云は納得のいかない顔をしながら,うなだれることがおおく,劉永東に慰められながら試合を行っているようなものだった.

朴英姫・金煕洙。これは3位決定戦に勝った直後。
 調子は決してよくない金瑞云からして,朴英姫・金煕洙組が有利かと思われたが,この準決勝では金瑞云はかなり持ち直してきた.韓国選手特有の低い構えから,速球が安定し,劉永東の活躍を引き出していた.

 結果は5-1で,金瑞云・劉永東組が勝ってしまった.

 このあとに行われた男子ダブルス決勝では,李源學(イウォンハク)・劉永東組が,ファイナル・ゲームで黄晶煥(ファンジョンハン)・金煕洙組を退けて栄冠に輝いた.


男子シングルス決勝、手前 金煕洙、向こうが金耿漢。テクニカルな面ではまちがいなく最高峰、背筋がさむくなるような鋭い切れ味の技、その連続であった。しかしそれが熱狂につながらないのだ。
 ところでこのダブルスの前に,実は男子シングルス決勝が行われたのだ.金煕洙は現世界チャンピオン金耿漢(キムキョンハン)と対戦した.

  この二人は,予選から別格の強さを見せていた.準決勝では金耿漢は廖南凱(リャウナンカイ),金煕洙は中堀という,二人とも今大会を代表するベースライン・プレーヤーに勝っての二人の決勝進出であったが,それがシングルスにおいてネット・プレーヤーが優勢であることを物語っているわけではなくて,二人が今大会における傑出したシングルス・プレーヤーとしての証明であるように思われた.地元の利があるとはいえ,韓国の二人のネット・プレーヤーが決勝に進出したことを見て,あらためてその実力の高さを知る思いだった.
男子シングルス決勝を終わって
決勝終了後、挨拶を終えた金煕洙はベンチにうつむいたまますわりこみ、退場行進も拒否。動こうとしなかった。

 ところが,始まった男子シングルス決勝は,空虚なポイントのファイナル・ゲームまでの積み重ねであった.そしてそのことは,観衆自身が証明していた.大きな歓声が湧くこともなく,惹き付けられるように見ているものは少なかった.

 さしたる山場もなく,金耿漢の勝利で終わった.それは「ゲームをこなしている」といってもいいように感じられ,私たちの期待は完全に裏切られていた.だが,金煕洙はただ憮然とした堅い表情を崩すことがなかった.

取材を受ける黄晶煥
 個人戦ダブルス決勝後,金煕洙のペアであった黄晶煥は,姿勢よろしい兵隊よろしくマスコミの取材を淡々と受けていた.その姿に僕は言いようのない違和感を覚えた.黄晶煥は国際大会個人戦で初の決勝進出であったから,彼自身は二位という結果に十分に満足していたのだろうか.試合後の金煕洙と黄晶煥から感じられる雰囲気に,かなりの温度差を感じてしまったのは僕だけだったのだろうか.

 ダブルスでもミックス・ダブルスでも金煕洙は自らの敗退が決すると,テニス・コートに落ちていたボールをうなだれながら拾っていた.その姿は,2000年秋に佐賀で開かれたアジア選手権大会個人戦ダブルス決勝で,日本の平山・土師組の前に屈したときと全く同じ姿であった.
 ファイナルで勝った平山と土師がラケットを放り投げ,大喜びしながら駆け寄り抱き合おうとしている正にその時,金煕洙はネット近くに転がっていたボールを,うなだれながら拾っていたのだ.そしてその金煕洙の姿は,勝敗を決した最後のボールを自ら拾うことで,自らの敗退を受け入れようとするアスリートの姿でもあった.敗退したという事実に対して,二人の間にはかなりの乖離が存在していたようだった.それが,今回のシングルスでは違っていたのだ.シングルスでの敗退を受け入れようとしている姿であるとは,到底感じられなかった.

 そしてさらに,今回のシングルスでの敗退が持つ意味は,ダブルスでのそれとは異なっていたのだ.金煕洙がシングルス敗退後に見せた姿は,その敗退を受け入れようとしている姿であるとは,到底感じられなかった.

 

 

 大会終了後に開かれたパーティーでは,金煕洙は喜ぶことも笑うこともなく,硬い表情を崩すことなくただ酒をあおっているようだった.シングルスでの不可解な敗戦の理由は,僕には知る由もないのかもしれない.そしてその事実を金煕洙自身が乗り越えられる唯一の方法は,次回の国際大会へと残されることになったはずであった.それこそが無冠の帝王への課題でもあるはずだ.
 

第六章 無冠であること 了

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KOREA

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