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| ダブルス3位決定戦の廖南凱。 |
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| 個人戦ベスト4進出を決めて。廖南凱はこれで個人戦は広島から銅-銀-銅。 |
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| これも準々決勝。 |
あの日本―台湾戦の第2ダブルスは大きな分かれ目であったし,台湾と日本に殆ど差はなかったと言えた. あの第2ダブルスでもし三石・渡辺組が負けていたら,日本の敗色は濃厚になっていたはずであった.だからなのか,そんな台湾チームからはとてもちぐはぐな印象を受けた.そして廖南凱の怪我のことを考えると,ひょっとしたら見えない力が廖南凱にストレスとなり,それが怪我につながったのではないだろうかと,漠然と考えるようになっていた.それは郭旭東だけの問題ではなく,廖南凱に対する期待の大きさだけを問題にしても始まらないように思われた.
有形無形のプレッシャーと呼ばれる圧力が廖南凱に掛かっていただけのように思われた. しかし,それが怪我につながってしまったのであれば,調整ミスであると言わざるを得ない.
国別対抗戦後に行われた個人戦ではかなり復調した台湾チームであったが,国別対抗戦で台湾チームは優勝できるほどの状態になかった,
そんな印象を最後まで僕はぬぐい去ることができなかった.そして,台湾チームが3位という結果に終わったことも至極当然のように感じられた.
だが廖南凱は,「至宝の技」をあますことなく私たちに披露してくれた.しかもその「至宝の技」は,ダブルスで遺憾なく発揮された. 今大会の廖南凱の姿は,7年前の僕のイメージにプラスαを与えてくれるものでもあった.
廖南凱が示したのは,卓越した状況判断能力とフット・ワークであった.そして彼こそが,
「20世紀の日本ソフトテニス界が目指していた究極のベースライン・プレーヤー」像であると言えた.
廖南凱にバックハンドで打たせることは至難の業であった. そして,そのバックハンドで打たないことが,長きに渡って日本人が求め続けてきた姿であったはずだ.
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| ダブルス予選リーグでの廖南凱。 |
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| 中国戦での台湾男子。バンコク大会では0-2とリードされるなどてこずらされたが、今回は問題にしなかった。 |
どこかテニス(硬式)の匂いを感じさせる廖南凱のフォアハンドは, 体幹部と上肢のユニット・ターン(unit turn)とそれと一体となったオープン・スタンスで構成されている.
もちろん必要に応じてクローズド・スタンスも見せるが,オープン・スタンスから体幹部の鋭い回転によって威力あるフォアハンドを実現しているようだ.
さらに,セミ・ループ・スウィングを採用し,彼の体格からは想像もできないほどの威力ある打球を可能にしているようだった. これらオープン・スタンスやループ・スウィングといった技術は中堀にも共通して見られ,それらは全体的に力みのない,
シャープでありながらしなやかなスウィング・イメージを与えてくれる.
更にそれらは,ワイドな打球コースをも可能にしているように感じられた. 韓国の李源學や日本の三石が彼らほどのシャープでしなやかな技術を身につけたら,どんな素晴らしい選手に生まれ変わるのだろうかと思わずにはいられなかった.
しかし廖南凱の場合,それだけではなかったのだ.華麗なフット・ワークと早いタイミングで打球し,
相手コートのオープン・スペースへ切れ込んで行くのだ. そして,そうしたことが可能であったのは,彼には「ゲームがよく見えていた」からであった.
クロスや右ストレートでゲームが展開されるとき,彼は多くの場合,ミドルぎりぎりのポジションに立っている. 恐らくそれは,究極的に選択された限りなくミドルに近いポジションであった.
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| 廖南凱独特の待珠姿勢。シングルス準決勝金耿漢戦より。 |
例えば,自身のペアであるネット・プレーヤーがレシーブをすると,ストレートからミドル気味に打球されることが多いだろう. そんな時の彼は,右足を大きく前につきだした特異な待球姿勢から,一気にラケットをバックスイングし,華麗なフォアハンドを放つのだが,
予めミドル近くに立っているので,何の苦もなくフォアハンドで打球し,そのあとにはストレートに大きなオープン・スペースが残るのだ.
そんなオープン・スペースは相手にしてみれば格好の攻撃目標になるはずであったが,廖南凱相手では簡単にすまなかった.
例えば,自身のペアであるネット・プレーヤーがサーブをアドバンテージ・サイド(逆クロス)で行う場合, 廖南凱はミドルに位置しているので彼の右側には大きなスペースが空いている.
そこは相手レシーバーにとってはストレート方向であり,非常に「魅力的」なエリアになるに違いないが,簡単には打てないのだ. 少しでもレシーブが甘ければ,廖南凱のライジングの餌食にされてしまうからであった.
そう,彼には誰よりも早く打球コースを予測できる力が備わっていたのだ. だから少しくらい速いレシーブをストレートに打球しただけでは,
逆襲をくらってしまう恐れがあったのだ.
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| 個人戦ダブルスで廖南凱と対戦する金煕洙。 |
唯一その逆襲の恐怖にうち勝っていたのは,韓国の金煕洙だけであった. 煕洙だけがその魅惑的な「聖域」にレシーブを打球し,完全ではないながらもエースを取ることができていたのだ.
しかしそんなことはわずかに2度あっただけで,しかも煕洙の高速レシーブはサイドラインから10cm程度という本当にぎりぎりの所に打球されていたのだ.
廖南凱が「20世紀の日本ソフトテニス界が目指していた究極のベースライン・プレーヤー」であることは,次のようなシーンから見て取ることができた.
廖南凱からみて右側のストレート展開になった際に,いわゆる逆クロスのロビングを相手ベースライン・プレーヤーから放たれることがあった.
そんな時に彼は,誰よりも早くスタートを開始し,見事なフット・ワークでフォアハンドに回り込み, 高い打点からよくドライブの掛かった切れ味抜群のボールを打ち込んでいた.
通常このような展開の場合,フォアハンドに回り込んで打球するのは困難で, そんな時,相手ベースライン・プレーヤーはそれほどの切れ味鋭い打球が返ってくるとは思ってもいないのだろう,
テイク・バックが間に合わず,体勢不十分で逆に切り替えされてしまう有様だった. 回り込ませて打たせようといった作戦など,全く通用していなかったのだ.
同様なシーンにおいて,日本国内では何かとフォアハンドに回り込む選手がいるが, 打点が地面すれすれになってしまっているときなど疑問に思えてならないが,廖南凱にそのような姿は見られなかった.
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| ミスターフォアハンド!! |
僕が高校生や大学生の頃,「後衛」は全ての打球をフォアハンドに回り込んで打球できることが究極的な技術であるかのように言われていた.
「全部フォアハンドで打つぞ!というような気概を持って練習するのだ!!」とよく聞いたものだし, そういった考え方に賛同しているプレーヤーがほとんどであった.そのくらいフォアハンドだけが重視されていた.
それを実際に体現できているのが廖南凱というわけだ. 卓越した状況判断が誰よりも早いスタートを生み出し,華麗なフット・ワークと巧みな体さばきによって切り返していくのだ.
今でも彼を思い浮かべると,スタスタという軽やかな足音が鮮明に聞こえてくるくらいだ. だが,彼のバックハンドはどうしてもイメージできない.この大会で彼のバックハンドは,わずかに1回か2回しか見ていないからだ.====>
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