今年は多忙でプレヴュ−が書けない、と思っていたのだが、熱心な人からまだか?と連絡がきて、なんとかムチうってキーボードを叩いている。数時間後には仙台に向って出発しなければならない。当地で書くということも考えたが、大会がはじまってしまえば、そんな時間はない。速報するだけで精一杯。
 興味を失ったわけではない。むしろここ数年ではもっともわくわくしている。一体、どのようなゲームがみられるのか。

 ハードコートでおこなわれるというのがまずある。何度もかいてきたようにハードコートでのトップの試合というのは格別なのだ。ソフトテニス関係者はこのサ−フェースを忌み嫌うが、もったいない話しである。ここ数年でもっともエキサイティングだった国内試合は1998年のアジア五輪国内予選だった(これも何回も書いた)。このときのサーフェ−スがハードで、実は国内でのハードの試合はこれぎりおこなれていないのだ。
 

最近の国際大会予選と全日本優勝者
year  国際大会予選会  天皇杯 全日本シングルス 参考 国際大会個人タイトル
ダブルス  シングルス 
2004 中堀・高川 浅川・小峯
高川経生 金裁福・朴昌石
韓国
林舜武
台湾
2003 花田・川村
 森田・香川 
中堀成生  金法顕・方峻煥 
韓国
方峻煥
韓国
2002 中堀・高川
浅川・小峯
岩永淳 李源學・劉永東
韓国
金耿漢
韓国
2001 予選会無し 中堀・高川 中堀成生 中堀・高川
日本
方峻煥
韓国
2000 平山・土師
北本・斎藤
中堀成生 平山・土師
日本
方峻煥
韓国
1999 中堀・高川
中堀・高川
小峯秋二 謝順風・陳信亭
中華台北
金耿漢
韓国
1998 北本・斎藤
玉井・紙森
中堀成生 郭旭東・方同賢
中華台北
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 もうひとつ、アジア選手権での完敗(もちろん男子)以降、その敗戦の内容を受けて、日本のテニスに革命的な変化がおきつつあり(いささか遅きに失した感は否めないが)、その成果がはじめて問われる場になるということがある。

 その変化というのはダブルフォワードシンドロームとでも呼びたくなるもので、アジア選手権で二度台湾のダブルフォワードに完敗した花田・川村などは、インドアをみる限り、いままでの自分達のスタイルを完全に捨て去ってしまった。それでも花田・川村の名に恥じないそれなりの結果(内容はともかく)を残してきているのは本当にたいしたものだ。

 全日本ランキング一位の浅川・小峯は、昨年の全日本で王道?をいく日本の伝統的スタイルのテニスを披露し二度目の優勝を果たした。彼らはアジア選手権に出場しておらず、ダブルフォワードの洗礼をうけていないのだが、国内では花田・川村に次いで積極的にこの新しい戦術にトライしている。

中山杯での浅川

 先日の台湾遠征でも浅川は、台湾の学生と組んだダブルスで言葉の壁をこえて積極的にコミニュケ−ションをとり、攻撃的なテニスをみせた。浅川はダブルフォワード戦術以外にも打球そのもののタイミングをつめようつめようとしており、彼本来のスタイルと現在目指しているものにはかなりの齟齬があるので、まだゲームにその成果は反映されていないものの、二度の天皇杯制覇に甘んじることなく挑戦する、そのチャレンジ精神は大いに買いたい。完全に視線が上にいっている、外に向いているのである。

 戦術の変化は男子ナショナルチームのいわば方針でもあるのだが、ナショナルチーム全員がそういうテニスに、というわけでもない。直接、アジア選手権で体験した選手でも、中堀・高川はそうでもない。菅野・小林(このペアではあまりでていないが)は全然やらない。中堀・高川は若干、東京インドアで、その素振りを見せないこともなかったが結局は本来の自分達のテニスを貫き優勝している。

 花田・川村はその中堀・高川にも果敢に未完成なダブルフォワードで挑み、ファイナルと競った、が、肝心のファイナルでは、もとにもどってしまった。競った場面でこそ、あの戦術が活きてくるのは世界選手権やアジア選手権での台湾をみていればよくわかるのだが、まだ、その段階までいっていないのは、もちろん、しょうがないところだ。

アジア選手権での花田・川村

 インドアシーズンでの彼らの劇的な変化はやはり目が外に向いている。彼らは国際大会にでて台湾、韓国に0勝3敗。とくにアジア選手権では完敗(王・趙戦はファイナルだが内容的には完敗)だった。日本では有効な花田の前衛攻撃も方同賢(世界選手権)、趙士城(アジア選手権)に完璧にストップされた。国内では充分通用する、いやそれどころかトップをキープしているそのテニスを国際大会では通用しないとみるや、いったん捨て去ったのだ。飛躍しようというその姿勢が頼もしい。ダブルフォワードを徹底させるには、サーブ力に問題があるし、スマッシュにも課題が残っているが、未知の可能性に胸が躍る。ダブルフォワードが例え彼らにフィットしなくても、挑戦すること、冒険することは、間違いなく彼等のレベルをあげることになる。ダブルフォワードの問題点、特徴もより明確になるだろう。彼らが今回、あのスタイルをとるかどうかはわからないが、注目である。

アジア選手権での中堀。王・趙戦でのカットのリターン

 話がそれた。中堀・高川に話しをもどす。彼らはとっくの昔から、目が外に向いている。彼らははもう10年以上、毎年、国際大会にでており、激動する世界のテニスの変化を肌で感じてきた。前回の東アジアでは個人タイトルもとり、国際舞台でゆるぎない地位も築いた。ここ数年の海外勢(韓国、台湾)の目標は中堀・高川を倒すこと、であったことは間違いない。彼がどういうふうに今後展開していくかは注目だし、このインドアシーズンでの非常に微妙なスタイルも彼らなりの迷いかもしれないし、僕としては彼らを尊敬しているので、なにもいうことはない。

 ただ菅野・小林組はどうなのだろう。彼らは昨年はじめて国際大会にでて、個人戦ダブルスでほぼ同世代の林・李になすすべなくやぶれた。外気に触れ、練習時間ももっともとれる彼らがインドア等でどのようなテニスをするのか非常な興味があったのだが、何も、無かった。よくわからない。

 全日本インドアでは室谷・柳田が優勝した。そこで室谷はもっともこなれたダブルフォワード戦術をみせた。新しいこと、というよりは彼本来のテニスにたちかえったかのような自然さであった。高校2年で当時全盛だった北本・斎藤をやぶり天皇杯でベスト8。翌年は世界選手権の予選で最終4組にまで勝ち残った室谷だが、その後は、上に立つことで去勢されてきた部分があったのでないか?この全日本インドアではなにかから解き放たれたような彼本来のテニスが蘇った。男子はおもしろくなっている。今回、室谷は一昨年の全日本チャンピオン香川とペアを組む。

女子 
アジア選手権での上嶋
国際大会の予選ということでは玉泉・上嶋が三年連続で優勝している。今年は四連覇がかかることになる。記録はいま正確なところがわからないが、前代未聞ではないか。皇后杯では苦戦が続いているが、よりプレッシャーの強いこの予選会での勝ちっぷりは素晴らしい。その玉泉組と皇后杯チャンピオンの渡邊・掘越の数度にわたる最近の戦いはほんとうに見物であり、女子のみどころはそこしかない。この二組につづくのが河野・濱中、そして、佐藤・緒方。この4組が飛び抜けている。そのほかでは過去二度の皇后杯に優勝しながら、地味な存在に甘んじている熊谷が女子選抜ではよかった。今年からNTTの所属となった名手福田とのぺアはこの大会に限らず、今年の台風の目である。

 実は女子にもダブルフォワードシンドロームはある。早くからおこなっている渡邊・掘越だけでなく、玉泉・上嶋も玉泉がネットをとりだしたのだ(女子選抜)。これにはあっと驚いた。女子のナショナルチームはとくにそういう方針をとったとは聞いていないから、これは自発的なものであり、凄いことだとおもう。

最近の国際大会予選と全日本優勝者 女子
year  国際大会予選会  皇后杯 全日本
シングルス
参考 国際大会個人タイトル
ダブルス シングルス
2004 玉泉・上嶋
(東芝姫路)
渡邊・掘越
(NTT西日本広島)
渡邉梨恵
(NTT西日本広島)
玉泉・上嶋
(日本)
渡邉梨恵
(日本)
2003 玉泉・上嶋
(東芝姫路)
水上・熊谷
(NTT西日本広島)
河野加奈子
(ナガセケンコー)
朴英姫・金明希
(韓国)
河野加奈子
(日本)
2002 玉泉・上嶋
(東芝姫路)
玉泉・上嶋
(東芝姫路)
水上志乃
(NTT西日本広島)
金瑞云・張美花
(韓国)
朴英姫
(韓国)
2001 予選会無し 坂下・濱中
(学連-日体大)
水上志乃
(NTT西日本広島)
水上・八谷
(日本)
水上志乃
(日本)
2000 石川・鎌田
(ナガセケンコー)
熊谷・八谷
(NTT西日本広島)
水上志乃
(NTT西日本広島)
上沢・裏地
(日本)
朴英姫
(韓国)
1999 上沢・河野
(ナガセケンコー)
沼崎・裏地
(タカギセイコー)
渡邉梨恵
(NTT西日本広島)
上沢・裏地
(日本)
王思亭
(中華台北)
1998 石川・奥
(ナガセケンコー)
米本・中屋
(NTT西日本広島)
石川聡子
(ナガセケンコー)
姜志淑・李米京
(韓国)
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