FILE NO.0501

 大会開始前日,テニスコートを使っての練習は午前9時から予定されていた.各国3時間という時間が割り当てられていた.
Jiang Ting
CHI.
Dai Ting-Ting
CHI.
 昨日はまだ来日できていなかった国があったが,この日には選手団の来日はほぼ完了していたようだった.
 中国の男子選手は昨年から全選手が入れ替わっていて,女子選手もDai Ting-TingとJiang Ting以外は見慣れない顔だった.それでも女子選手はかなりの技術レベルを維持していて,昨年自由奔放なストロークを見せつけたDai Ting-Tingのストロークも洗練されていたというイメージを与えた.軽やかというよりは,几帳面に意識的に行っているという感じを受ける待球ステップからは,自由奔放さを失ってまとまってしまったというより,何故か洗練されたという感じを受けた.それは恐らく,乱打相手のフォアハンドにきっちりとコントロールしていることに,相手に対する気遣いのようなものを感じることができたからであろうか.
 

 中国の練習はユニークであった.硬式テニスのスタイルを取り入れながら,楽しさを加味していた.2対2の乱打では,卓球のダブルスのように自分のパートナーと入れ替わりながら打球し,相手ペアを打ち負かすことを競っていた.乱打は1対1ではなく,2対2とし,乱打にチーム要素を加えていたのだ.また数人で円形の輪を作り,各人がボールを落とさないようにボレーをしながらボールを渡し合うようにしていた.その時,その輪の中に2人ほどが入って,ボール渡しを邪魔するようにしていた.サッカーの練習のようであったが,楽しさがあふれていた.遊びながらもウォーミング・アップを行っていたのだ.
ユニークな中国のウオームアップ
中国選手の多くは,明らかに硬式テニスからの転向であった.スライスを使うことや,フォアハンドでの特徴的なドライブに,硬式テニス・プレーヤーとしての傾向がくみ取れた.そして,Dai Ting-Ting自身も硬式テニス・プレーヤーであったことを自ら明らかにしていた.時折ダブル・バックハンドで打球していたのだ.両手でロビングを放つか,あるいは,片手からの強烈で不安定に見えるほどのスライスを打球していた.洗練され,やんちゃな姿を封じ込めたDai Ting-Tingは不気味な存在に映った.

 フィリッピンの選手達は,この日ようやく練習にこぎ着けることができていた.昨日の時点では,練習会場に姿を見せることができなかったのだ.昨年釜山で,国際大会への出場はもうないだろうと語っていたジョゼフィン・パグヨ---Josephine Paguyo---は,今回女子チームのコーチ兼プレーヤーとして参加していた.もう彼女のプレーを見ることができないと思っていたので,嬉しいことであった.
 フィリッピンの選手達の練習もまたユニークであった.硬式テニスのボレーの練習とソフトテニスのボレーの練習の,ちょうど中間のような印象を与える,そんなボレー練習を行っていた.やや中途半端にネットから離れた位置でボレーを行うが,何となくソフトテニス選手のボレーに似ているのだ.ストローク対ボレーで行い,ストローカーとボレーヤーとがそっくり入れ替わりながら,ストローク対ボレーの練習を続けていくのだ.基本的に全選手ともオールラウンダーであることを想定しているのだ.

Josephine Paguyo
PHI.
Enriquez Michael
PHI

 Josephine Paguyoは昨年,フィリッピン国内でジュニア・トーナメントを行うつもりだといっていたが,そのトーナメントが既に10月に行われたといっていた.100名ほどの選手が参加したようだ.着実に国内ですそ野が広がっているのだろうか.トーナメントが行われたことに頼もしさを感じたし,非常に嬉しいことであった.「夢の第一歩だね」というと,彼女はニコッと笑ってくれた.
 コーチになってチーム・マネジメントにも関わらなければならないのであろう,ウェルカム・パーティーでは日本のスポーツ・メーカーの社員を紹介してくれと頼まれた.例えば,昨年の釜山アジア競技大会用のフィリッピン・チームのアウター・ウェアには,韓国の企業であるSAMSUNGのロゴマークが入っているし,ネパール・チームでは国際宅配便のDHLのロゴマークが入っている.こうしたことは注目に値する.今後のソフトテニスのあり方に影響を与える可能性があるからだ.スポーツとは直接関係のないメーカーから協賛を得ることは,非常に重要だからだ.コーチ,プレーヤーでありながらも,マネジメントにも気を使わなければならないのであろうかと,彼女のおかれた環境が気になって仕方がなかった.続く--->