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| 金法顕のバックハンド。練習より。いわゆる両手打ちではない。それどころか、何度もいうように韓国男子で両手打ちの選手はほとんどいない。なぜか「韓国バックイコール両手打ち」という図式ができあがってしまっており不可解だ。 |
韓国テニスというと、まず強烈なバックハンドを思い浮かべる人は多いと思う。実際に日本は何度もそれに苦汁をのまされてきた。韓国はバックハンドだけではもちろんないが、他を覆い隠すほど、強烈なものであることは間違いない。バンコクアジア五輪で韓国が優勝したとき、またもコリアンバックハンドにやられた!!と嘆いた人がいたが、決してそれだけではないのだが、そういいたいのもよくわかる。とにかく強烈なのだ。昨年(2002年)のアジア五輪でのバズーカサーブがあたえたインパクトと似ている。
しかし、男子に限ってだが、ここ何回かの韓国代表ベースライナーはバックに関しては物足りないものを感じた。
東アジア五輪とアジア五輪はともに黄晶煥、李源學が代表だったのだが、黄晶煥はスピン系のバックハンダ−であり、打点をおくらせたふところの深さはユニークではあるのものの、守備的で地味である。
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| 李源學のバックハンド。 |
李源學は下手ではないが、韓国トップクラスとしては技術的にかなり落ちる、というか、攻撃という点ではフォアハンドにかなり寄り掛かったグラウンドストローカーである(東アジアでの国別対抗日本戦でみせた左ストレートはすごかったが・・・)。これではつまらない?。
つまり韓国選手が皆バックを武器にしているか、といえば決してそんなことはないのである。なんでもそうだが、そういう画一的なものの見方をしてはいけない、というか間違っている。
たとえば劉永東と組んで1997年の東アジア五輪ダブルスで優勝した金昇変はフォアハンドのライジング一本槍といっていい選手でバックからの攻撃はほとんどみせない(こともないが)。黄晶煥や李源學もそう。ただ日本のようにフォアとバックでバランスの極端に悪い選手はいないことはたしかだ。
これは、いうまでもないことだが、韓国が特殊なのではなくてバランスの悪い選手ばかりの日本が特殊なのだ。もちろん、これは欠点だ。正すべき欠点だ。国際大会ではそれがあからさまになる。チョムチョンにいったとき当地のジュニアの練習をみたことがある。それも中学生や高校生ではなくて、ほんとうのまだテニスをはじめたばかりの小学生たちだ。皆、フォアと同じくらいバックにも習熟していて感心したものだ。よく日本の指導者に、バックを覚えると足をつかわなくなる、などとしたり顔でいうひとがいるが、もしそうなってしまうとしたら、それは指導法が、トレーニング法が、まちがっているのだ。それとも韓国とはボールが違うとでもいうつもりだろうか。スマッシュをイースタンやコンチといった薄いグリップを覚えると、足をつかわなくなる、という指導もあるようだ。すぐにコートを去りなさい。
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| 金法顕。国際大会初出場。 |
佐賀のアジア選手権代表には全寅修がいて、このひとまでたどらないと攻撃的なバックハンダーの代表はいない。全はある意味史上最良ではないか、と私が考えるほどの究極のバックハンドを会得しているが、あまりに上手すぎ、なんでもできてしまうのでかえって迫力に欠ける面がある。
そういう意味--迫力--では現役では崔志勲につきるのだが、釜山東アジア1997、バンコクアジア五輪1998と連続代表になって以来、
国際大会に姿をみせないこと5年。まだ若いから、代表入りのチャンスはあるとおもうが、日本でみられる可能性はほぼなくなった感じである。
残念だが。
この人についてはまた詳しく紹介したいが、 とにかくあの金成洙(1987世界チャンピオン、1988アジアチャンピオン、バンコクアジア五輪女子優勝監督、現忠清銀行監督)を彷佛とさせる攻撃的なバックハンドを打つといえばすこしわかっていただけるだろうか。
そう、金成洙のバックハンドが見たいのである。技術的には全寅修のほうが上だし、進歩しているとおもうが、それだけでははかれないのが、テニスであり、スポーツの魅力でもある。
逆クロスのラリーから、いきなり、高い打点で、どかん、とダウンザラインにうちこんできたあの破天荒なバックハンドがみたいのだ。そんな彼の衣鉢を継いだのが崔志勲であり、バンコクアジア五輪では全、崔のタイプの違う究極のバックハンダーが韓国の後陣を固めていた、それはそれは魅力的な布陣だった。なにせ、ハードコートでベースラインのはるか後方から強打して、ノータッチエースがとれたのである。クロスのラリーからセンター深くを割られたボールをライジングでクロスに力の限り切り返しノータッチエースをとったのだ(日本戦)。唖然とするような、とんでもないものだった。
崔志勲・金耿漢はそのポイントで中堀・高川にファイナルに追い付き、結局逆転した(個人戦準々決勝)。
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| 金法顕のフォア。これは踏み込んでいる。基本的にスクエアかクローズでしか打たない。と言ってもオープンで打てないわけではないが、後期サンム系のプレーヤー達とくらべるとかなりものたりない。 |
さて、金法顕。ひさびさのハードパンチャーバックハンダーだ。金成洙や崔志勲ほどではない(というかやはりタイプが違うというべきだ)が、十二分に満足させてくれるバックハンドだ。全寅修にくらべると、技術的には退歩してしまった感もあるが、あまりうるさいことはいうまい。長年の渇?をいやすには十分すぎる。個人戦の中堀・高川戦の中盤(5ゲームめ)で逆クロスのラリーからストレートに打ったボールのヘヴィメタルな衝撃音は、ファインダーを覗いていて、いったい何事がおこったのか、とまわりを見回してしまったほどだ。化学繊維とゴムボールでなんであんな重金属音がするのか!またヘヴィメタルだけでなくて、順クロスのショートアングルにふわっと落とすソフトタッチもあり、その辺はやはり新世代の選手である。
フォアももちろん凄い。最強打したときは、フラットどころか、アンダーしていて、つまりスライス気味で、バウンド後はスキッドする恐怖のボールとなる。もちろん、このフラットはリスキーではある。彼はときどき信じられないようなバックアウトをみせる。これは力んで、あるいはびびってというよりも、それだけのリスクを背負ったショットなのだと思う。非常にあぶなっかしいわけだが、そんな選手が新世界チャンピオンなのである。もちろんこれはすばらしいことで、前回チャンピオンの謝・陳(台湾)につづいて強烈な個性が世界を制したのだ。
金法顕は国際大会初出場。初出場で国際大会の個人戦に勝つ、というのは、1998年のバンコクアジア五輪での郭旭東・方同賢以来。世界選手権に限っていえば1983年の桜井選手以来なんと20年振りのことになる。
韓国バックの復権 金法顕登場 了
韓国バックの技法へ続く(クリック)
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