シーズン開幕を飾るインドア。デコレーションがもっとも美しい大会でもある。4日の決勝トーナメントには沢山の観衆がつめかけ、二階席は満杯。3階も6割がた埋った。最近ではもっとも盛況だったのではないか。

 

昨年(2003)、世界選手権での掘越(左)・渡邊。

 昨年度限りで多くのトップ選手が現役を引退。しかし、決勝トーナメントの序盤では意外なほど、その喪失感を感じない。女子の技術的なレベルアップは目覚ましく、それが目を楽しませてくれる。ただ技術レベルがあがってもゲームレベルはまだまだ。上位が出揃ってみれば層が薄くなったことは歴然だった。でもこれはしょうがないところだ。まず技術レベルがあがって、そしてしかるべきのちゲームレベルがあがってくるのが順当であるはずなのだが、いままでのソフトテニスはその技術レベルのアップのところをおろそかにし、ゲームレベルのアップにのみかまける癖があったように思うのである。非常にまともになってきたように感じる。

 そういう新しい流れはNTT西日本広島が引っ張って来た。異端ともいえるテニスをここ数年展開しており、そのダイナミックさは女子のテニスを変えつつある。いま思わず異端と書いたが、めざしているところは実は正統で本来こうあるべきではないかと思わせるオールラウンドなテニスが現出しつつある。ごまかしのきかないテニスであり、技術がないとお話にならない。つまりそれは正統なのである。あるべき姿なのである。表面的なことではない。そういうテニスを志向する姿勢のことである。

過去5年間のダブルスウイナ−
2004 渡邊梨恵・掘越敦子-NTT西日本広島
2003 金智恩・濱田瑞紀-タカギセイコー
2002 東尚子・粟村公美子-東芝テスコ
2001 東尚子・粟村公美子-東芝テスコ
2000 水上志乃・八谷志帆-NTT西日本広島
過去5年間のシングルスウイナ−
2004 辻美和-東芝姫路
2003 河野加奈子-ナガセケンコー
2002 辻美和-東芝姫路
2001 辻美和-東芝姫路
2000 河野加奈子-ナガセケンコー

 現在の日本のエースは玉泉・上嶋(東芝姫路)。だが大阪インドアについで渡邊・掘越にやぶれ、3位(このゲームは今大会のベストゲーム)。前半はせりあったが後半はいいところが無かった。硬式テニスのIフォーメーションを参考にしたと思われる「裕ちゃんフォーメーション?」なる陣型でかく乱する渡邊・掘越。複数種のカットサーブも有効。(ポジションフリーへのルール変更はカット全盛へ導くだろう)。基本的に後衛である渡邊も機をみてなんのためらいもなくネットをとる。掘越もボレーのキレ、深いスマッシュともに抜群。スケールの大きなプレーヤーになってきた。名実とも今大会NO.1ネットプレーヤーである。

 玉泉・上嶋はまだこの大会での優勝がない。特殊なサーフェ−スであり、(玉泉は)このコートが苦手なのかも。彼女だけでなく、コートを持て余しているベースライナーは多かった。とはいってもこのコートの使用に疑問があるというわけではない。むしろ逆である。いろいろな種類のサーフェ−スを経験することはいいことに決まっているからだ。まちがいなくテニスの幅を広げるだろう。ソフトテニスは一部のサ−フェースに偏りすぎる。それは自らの競技としての可能性をせばめるだけであり、意識的にさまざまなコートにトライすべきだ。

 上嶋は風格がでてきて技術にもさらに上達がみられる。凄いな、と思ってみていたが、なにかもの足らない。ちょっと落ち着いてしまった、落ちつきすぎてしまった。まだまだ、暴れてほしい、ガツガツいってほしい、と思う。止まってほしくない。さらに飛躍できる可能性をこのひとはまだまだ秘めている。

 アジアカップに優勝、女子団体選抜に準優勝と好調のNTTドコモ四国のテニスにも注目。ここも従来の枠(因習といってもいい)にとらわれないテニスを志向しているのがとみてとれる。団体戦での勢いはフロックでもなんでもない、と、はっきりわかった。今後も絶対に目が離せない。とくに寺崎・宗久は、渡邊・掘越に敗れて8本に終わったが、準々ではベストのゲームであり、下のゾーンにはいっていれば決勝にでたのではないか。寺崎の逆クロスはべらぼうに凄い。ただアジアカップでみせた早いタイミングでの攻めがみられない。コートがあわなかったのか?宗久は男子なみのスケールが魅力。

 シングルスは決勝だけが、抜群におもしろかった。シングルスに本気で取り組んできたのは、国際大会の代表だけであり、そうでない選手との落差はあぜんとするほどだ。決勝のおもしろさよりもそれが気掛かりではある。

 辻はバックハンドに進歩がみられ、フォアもオープンスタンスを完全に自分のものとし、カヴァリングにすきがない。それに当然いいボールがいっていた(フォアハンド)。一方の河野はフォアの打球の威力がすさまじく、音が違う。ただ全体としては不調。決勝も最初にせりあったあと、ゲームが一方的になりかけたが、最後にきてすばらしい踏ん張りをみせ、ゲームに山場をつくった。緊張力の高いいいゲームだったと思う。

 ただこのシングルスのおもしろさは硬式テニスのそれと酷似しており、複雑な気持ちになる。ソフトテニスならでは、というユニークさにかけるのだ。もちろん選手のせいでない。

ダブルスベスト8

  Q-finals 
  S-finals 
   FINAL 
   WINNER 
玉泉・上嶋東芝姫路 5
vs. 玉泉・上嶋 2
吉岡・林サンライフ 1
vs. 渡邊・掘越 5
寺崎・宗久NTTドコモ四国 1
vs. 渡邊・掘越 5
渡邊・掘越NTT西日本広島 5
vs. 渡邊梨恵・掘越敦子
鈴木・濱中山形スポーツセンター・広島女子商 5
vs. 鈴木・濱中 3
坂田・橋本京都中央信用金庫 2
vs. 藤原・佐伯 2
佐藤・緒方ヨネックス 3
vs. 藤原・佐伯 5
藤原・佐伯学連-神戸松蔭 5

シングルス ベスト4

 singles semi finals  singles final
 
河野加奈子--ナガセケンコー-- 4
vs.
渡辺愛子--学連-東京女子体大-- 2  河野加奈子--ナガセケンコー-- 1
vs.

長奈津子--学連-早稲田大ー-

0  辻美和--東芝姫路-- 4
vs.
辻美和--東芝姫路-- 4

 

             

 

 

soft tennis homepage