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男子準決勝中堀・高川vs.松口・小林は大激戦。松口・小林(学連 日体大)の今年の充実は目を見張るものがある。とくに松口に顕著で、テニスだけでなく、たたずまいや表情まですっかり大人びて、成長をはっきりと感じる。このゲームも彼の持ち味、そして現在の勢いが全面にでた。
ただ勢いという意味では中堀・高川のほうが凄いといえる。春から、東アジアの予選に優勝、中国選手権優勝、西日本準優勝、社会人準優勝と出る大会すべて決勝にでている。そして今回の優勝と全盛期といっていい強さと勢いがある。ダブルフォワードで、中堀・高川はリフレッシュし、ある意味、再生したのである。
この準決勝、一見、ダブルフォワードに挑む雁行陣という図式である。しかし、おもしろいものだ。雁行陣は伝統的な戦い方である。その戦術を学生がとり、過去5回優勝のベテラン中堀・高川が最新の戦術であるダブルフォワードで戦う。
いや本当にそうだろうか?この対戦はニューウエーブとオールドウエーブの戦いだったのか?
実は松口・小林の雁行陣は旧態然としたそれではない。それは強調しておかなければなるまい。むしろ、ほとんどダブルフォワードといっていいテニスである。中堀・高川が非常に極端なダブルフォワードをとったので、分が悪くなった?だけである。雁行陣という形式にこだわることででてくる意味のない無駄な部分をほとんど削りとったソリッドな雁行陣なのである。無意味に下がらないし、むしろいける時は松口も積極的にオフェンシブなポジションをとる。がんがんとる。ゲームはぎゅうぎゅう締ってくる!!
またベースラインプレーにおいても右足踏み込みのオープンスタンスを完璧に消化しており、古い殼を完全に捨て去っている。松口だけではない。最近の日体大の進化ぶりには唸らされっぱなしである。サービスのやたら攻撃的なところなどにそれは顕著である。
話がそれた。いいたいことはこうだ。松口・小林もニューウェーブなのである。精神はダブルフォワードそのものといっていいだろう。前にも書いたが、ダブルフォワードというのは、ダブル前衛という意味でつかっているわけではない。攻撃的な姿勢そのものを指す。誤解を恐れずにいえば、『後衛がつないで前衛が決めるなんて糞食らえ!!』というようなテニスのことだ。
松口・小林の今回のテニスをダブルフォワードというのはいいすぎかもしれない。しかし、旧来の日本スタイルの雁行陣とは大きな隔たりがある。限りなくダブルフォワードに近いのである。
甘さや馴れ合いを一切排したダブルフォワード同士のゲームは厳しい雰囲気に満ちている。特にそれはリターンに顕著。リターンの甘さは国際大会における日本のおおきな欠陥ともいえたが、このゲームにおいては払拭されていた。とくにセカンドレシーブではつねに決定的な打球がなされ、その獰猛ともいえる攻撃的な姿勢が醸し出す緊張感といったらなかった。こんなプレーは以前の国内大会ではついぞみられなかったものだ。
リターンの攻撃力増加は当然サービスに跳ね返る。とくに中堀が前につくことで高川のセカンドサーブは極限まで強力化しているといっていい。当然ダブルフォルトもでるが、そんなことはあたりまえである。日本のソフトテニスは変わってきている。確実に変質しつつある。
ゲームはどっちに転んでもおかしくない展開であった。松口・小林が引っ張り、中堀・高川が必死についていく、という流れである。松口はもてる技術を最大限に発揮し、攻めまくる。それも学生にありがちな勢いだけの単純な攻めではない(そういう単純さはダブルフォワードの思うつぼにはまる)。非常に知的な攻めである。それを実現させる技術の裏付けを松口は充分にもっているわけだ。
特に前半はワイドな攻撃が効果的、ダブルフォワードの急所を上手くついていた。しかし、中堀・高川は傷だらけになりながらも攻撃的姿勢をくずさない。この前半、そして中盤でなんとかカウントをはなされずについていくさまは壮絶であり、感動的ですらあった。といっても悲壮感があるわけではない。
中堀・高川はこのゲーム高川のリターンが例外的に不調であり、ファーストサービスの確率も良くなかった。大会後、中堀は、準決勝が悪すぎました、といっていたが、この準決の相手に強い意識があったことは間違いない。
小林に関しては、彼の持てる可能性、潜在的な能力、昨年のチェンマイアジア選手権での経験、からいうとかなり物足りない。特にそのサービス。本来べらぼうな威力のサービスをもっていながら、今回はほとんどそれがみられず、セカンドに至っては下から何の変哲もないカットサーブというのはおおいに疑問(彼だけでなく男子全体の課題、ハッキリ言っていままでのようなロークオリティのセカンドサーブでトップクラスでプレーしていくのは無理)。
彼はチェンマイにおいてリン・シュンウ/リー・チャーホン(台湾)の変幻自在なテニスに翻弄されて敗れた。いわば最前線でダブルフォワードの手痛い洗礼を受けるという得難い経験を積んだわけだが、そこから何を学んだのかが、すくなとも今は見えない。中堀・高川とはあまりに違う。今後、どう変わっていくかに注目したい。チェンマイでの体験はきっとなにかを残しているはずだからである。
コートサーフェスは5ミリの人工芝。砂はない。ここなら中堀はカットでくるか?とおもったがオーヴァーヘッドだった。縦回転系のカットでは効果の薄いサーフェースだったからだろうか?おなじく縦回転系のカットである渡邊梨恵のそれも結構はずんでいた。逆に菅野のカットはサーフェースにマッチしていた。
カットサーブは同じようにみえてもコートとの相性はある。非常にある。昨年のチェンマイでも韓国のキム・チウン(金智恩)のカットはコートとまったく合わず、セカンドサーブのようにはずみ、彼女のサービスサイドでのアドヴァンテージを完全に奪ってしまった。一方、玉泉のカットは見事にマッチしていた。
中堀は一本だけカットをつかった。ファイナルゲームでのマッチポイント、松口に対して。あまり切れているとはいえず、サーフェースを度外視しても、中堀にとってのベストのカットではなかったが、(コースはベスト、センターへのショートであり、これ以上のプレースメントは考えられない)、非常に効果的であり、完全にリズムをくずされた松口は思わずミス。激戦の幕切れとしてはあっけなかったが、中堀の老獪さが光った技ありの一本。ゲーム全体として、かなりおいこまれ(た風にみえ)ながらも少しも冷静さを失っていなかったのはさすがである。完全にゲームを客観視できている。うならせる一本であった。と同時に、イ・ボンジン(大邱カソリック大学)のムーンカットをなつかしく思い出した。
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