spc
spc

 

MAIN | BBS | BLOG | YOUTUBE | FACEBOOK | MAIL

アジア選手権基本情報 2008 | 2004 | 2000 | 1996 | 1992 | 1988 | 旧アジア選手権 | 歴代優勝者
line

日本女子4連覇なるか!? 女子ダブルスプレヴュー

 

 
杉本瞳(東芝姫路)。大会初日のシングルスで
大庭彩加(NTT西日本広島)。鹿児島での国内最終合宿より。
2012皇后杯決勝での上原絵里
阿部悠梨(ナガセケンコー)これも鹿児島合宿より

この種目、日本が2000年の第4回大会(佐賀)より連勝中である。その日本からは予選一位の上原・阿部(ナガセケンコー)と杉本・大庭(東芝姫路・NTT西日本広島)がエントリー。

杉本・大庭が大本命、世界選手権で決勝を争った二人がペアを組むのだから、当然だ。

ちなみにジュニア時代のこの無敵ペアは前回大会(2008)でもペアを組んでいる。今回はそれ以来のリユニオン。杉本は5大会連続の国際大会出場になるが、個人戦では毎年ペアが変わった(上嶋、大庭、上原、森原)、これは全くめずらしいことでないか?

対抗は上原・阿部。上原は前回大会優勝。4年前の韓国はそれはそれは強くて団体戦で日本は手も足もでなかった。個人でも前年の世界選手権のように(ベスト4に3組)上位独占のいきおいだった、そんななかで優勝して周囲をあっと言わせた。二年後のアジア競技大会でも杉本とのペアで優勝し、アジアダブルスタイトルを独占している。なのに昨年の世界選手権はダブルスにでられなかった。今年の予選一位は上原のプライドがみえる。

本来なら本命としたいところだが、阿部が初出場ということで対抗となった。国際大会ほど経験がものをいうところもない。

もう一組の対抗はキムエーギョン・チュオク。

エーギョンは広州で佐々木・大庭に完勝したようにテニスが柔らかいところがあり意外にハードでも強い。ただチュオクは伸び悩み、というか後退気味といえるほどで、韓国の優勝は難しいのではないか。

実は韓国女子はアジア選手権のダブルスで優勝したことがない。ちょっとおどろくべきことではあるが、理由は二つだ。韓国代表戦観戦記で書いたように韓国女子は世界選手権終了後に大きく入れ替わる事がおおいこと、もう一つはやはりクレー以外のサーフェースが多い事である。前回はどれもあてはまらなかったわけだが・・・・

日本でも選手がごそっと入れ替わることはあるが、やはり日本は層が厚いとおもう。勿論入れ替わればレベルはぐんとさがるが、そのギャップは韓国よりもよほど小さい。韓国は男子はむしろ日本より層があついと思わされる事が多いが、女子はうすいし、最近さらにうすくなった。

韓国代表選考のところで書いたように韓国の予選一位は農協中央会の若い二人のベースライナーが勝った。つまりダブル後衛が勝利したのである。

これがこのままでてくればおもしろいことになると思ったのだが、ヨンドン監督(初監督だ)はペアをいじった。代表6人目は予選上位から推薦、という形なのだが、その推薦ではいった沙下区庁のイウンミをチェエリとのペアで個人戦にエントリーしたのだ。

キムエーギョン(農協中央会)。4月の韓国国家代表選抜戦より
チュオク(農協中央会)。
イウンミ(沙下区庁)。選抜戦ではクォンランヒとのペアでキム・チェを追い込んだのだが・・・

イウンミはネットプレイヤーである。このひとは素晴らしいグラウンドストロークを持っていて(フォアハンドオープンスタンスの美しい事!!)シングルスプレイヤーとしては魅力的なのだが、ダブルスプレイヤーとしては平凡というしかなく、このチェ・イは無視してよいとおもう。チェ・イムでだしてほしかった。
韓国は女子前衛を育てるメソッドをもっていないのではないか、とおもう。

勘違いしないでほしいが、前衛を育てるメソッドはある。男子では次から次へいい前衛で出てるし、なにしろ、あの3トップ(ヨンドン、キョンハン、ヒースー)を生んだ国である。

いい前衛がいない、という意味ではない(今はいない)。過去に名前衛といわれるひとは少なからずいたし、今後もでてくるだろう。しかしアベレージは低い、なぜ韓国女子の前衛のアベレージが低いのが思い当たることはいくつかある、がここではふれまい。

日本のそのメッソドがあるのか?あやしいが、なにかを日本球界自体が集団意識として、なにか、つかんでいる、ような気がすることがある。なにやらスピリチアルな話しになってきたが、前衛というポジションはどこか神秘的なところがあるものだ。もちろん競技人口が圧倒的に多いということも重要な要素。


アベレージが低いことは韓国自身はよく知っている、知り抜いている。しかし、かたくなにベースライナーとネットプレイヤーのペアリングにこだわる。雁行陣にこだわる。なぜなんだろう。

志が高い?

よくわからない。韓国女子の前衛のレベルのアヴァレージの低さとは対照的にベースライナーの攻撃力、強力な打球力はこれもよく知られて恐れられている。なぜダブル後衛という選択しないのだろう。知る限りで一度もないのである。台湾なぞ平気でダブル後衛をくりだしてくることがおおいのだが。

韓国女子のダブル後衛なんて想像するだけでおそろしいし、しかも可能性を感じるというか、さらにその先があるようにおもうのだが・・・

やはり志なんだろうか。そういえば台湾女子も最近、ベースライナー、ネットプレイヤーの組み合わせのペアがほとんどだ。

その台湾は鄭竹玲・陳翊佳に注目だ、このペアはこの春の中山盃(レッドクレー)で深澤・宮下と3度戦って勝ち越した。鄭竹玲はまだ高校生だった広州アジア競技大会で李佳鴻と組みミックスダブルスで銀メダルを獲得している、その後も順調な成長降りをみせ、昨年世界選手権日本戦では2番のシングルスに出場して小林を翻弄したことは記憶に新しい。
陳翊佳はその鄭竹玲の高校時代からのペアだ、高校一年時に台湾国体ダブルスで優勝し、台湾一位になっている(台湾国体は年齢のカテゴライズがない、オープンである)。

鄭竹玲 シングルスでのプレー 陳翊佳。ミックスダブルスでのプレー

国際大会には昨年が初出場。その昨年は団体でなぜか控えで個人戦でもそれほど目立たなかったが、台湾久々の好前衛の予感である。能力は抜群、技術もオーセンテックかつよく訓練されている。さらに、これが一番大事なのだが、速い、のである。機敏なのだ。

話しがもどるが、今の韓国女子前衛にはそのスピードが全くない。他の台湾女子前衛にもかけている。

昨年だったか農協の練習をみていたときだ。農協のコーチは今回初代表監督のかのユウヨンドンである。彼が手塩にかけてきているので技術の一つ一つは実に素晴らしいし、ヨンドンそっくりに身体をさばき、見事なラケットワークをみせる。それを練習後の食事の際にヨンドンに率直につたえたところ、『俺はあんなに遅かったのか』と苦笑していた、
この機敏さは物理的な進退能力やスピードとはちょっと違う気がする。センスと言い切ってしまうのも違う気がする。前衛らしさを決定づける、もっとも重要ななにかであることはまちがいない。そんなことは韓国や台湾の指導者もわかりきっているのだが・・・
陳翊佳にはそのなにかがある、身に付いているとおもうのである。台湾女子久々の大前衛になる可能性がある。

鄭竹玲・陳翊佳はことによると今回優勝まである、そう思える。大穴である。

台湾女子は過去このアジア選手権で2度優勝(1988第一回、1996第三回)いずれもハードコートであることをかんがえると不気味。日本は4度優勝のうち(クレー2、砂入人工芝1、ハード1)という内訳、ハードコートでの開催は3回である。