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ダイ・ティンティンのフラットサーブ

2002アジア五輪、2003世界選手権そして2004アジア選手権とその華やかな天才振りでASTメンバ−を魅了した中国のダイ・ティンティン(DAI Ting-Ting)。

ここでは彼女のデュ−スコート((いわゆる順クロス)へのフラットサーブをみていく。

天才、と書いたが、ここでは、その天才ではなくて、彼女の基礎技術の高さがきわだっている。

まずトスアップの美しさ(5コマ〜)を愛でたい。実に模範的、そして完璧。トスの高さも理想的だろう。とくにトスアップ完了後の22コマめからの数コマは素晴らしく美しいし、理想な姿である。落ちてこない左手、決して動きを止めることないテイクバックもリズム、タイミング、そして所作、完了時の、右肘の高すぎず低すぎない位置、全てが模範的で文句のつけようがない。

2004年チェンマイでのアジア選手権フェアウエルパーティでASTの取材に応えるダイ・ティンティン(ダイは戴と書くがティンティンの表記がパソコンでは不可能)。ダイについては それぞれの釜山--スタイルの探究ー-)牙--いくつかの流儀1--牙--経験と言う財産--も参照のこと。

 落ちてこない左手、というのは、ボールが手のひらをはなれたあとの左手のことだ。24コマめまで下げないでボールを指している。これが左半身の壁をつくり、身体の開きをぎりぎりまでおさえる。これがサービスにおけるタメ、なのである。ここでの左手の動きは、天才とは関係ない部分で、教えられないとなかなか出てこない。このトスだけみても彼女の受けたコーチングのレベルの高さが知れる。

 このサーブはシングルスのゲーム中のものであり、ポジションはセンターマーク近く。構えたときはややクローズドスタンスになっているが、トスアップとともに右足を右前ベースライン方向にひきつけていく。(トスする)左手は打球方向と垂直(ネットとほぼ平行)にあがっていき、同時に身体は打球方向に対しクローズ(つまり横向きになり)していくので、上体が自然に捻られている。この捻りがパワーを生む。ダイのフォームにはどこにも過剰なところがないのでわかりにくいかもしれないが連続写真をじっくりみてほしい。

引き絞りの頂点は27コマから28コマあたり、でそれ以降、一気にパワーを開放していくことになる。
 ここからはラケットワークに注意してほしい。右の画像はその部分をあげたものだが、左端と、右端ではラケットのフェースが180度違う方向をむいているのがおわかりだろう。このような上腕部の捻りを、いまさらいうまでもないだろうが、プロネーション(回内)と呼ぶ。

 またプロネーションとともに起る動きで重要なものに内旋があるが、これはテイクバック時に90度近くに曲げられた腕(肘)を前にぐっとたおしていくような、肩というか腕の動きを指している。

 プロネーションと内旋はほぼ同時におき、やってみると(あるいはやってみせると)簡単なのだが、言葉にすると実に複雑な動きになる。硬式テニス関係の雑誌では煩雑にサービス特集が組まれプロネーション内旋についても解説されているがなかなか上手く説明できていないことがおおい。言葉による解説の限界を感じる。

 他に重要な要素として水平屈曲があるが、左肩〜右肘にかけての線をみてほしい。ほぼ直線になっている。サーブは肩を上方に(縦に)まわす運動ではないのである(よくいわれる耳をこするようにスイングするという指導は適切ではないことになる)。

 このサーブをさらに改善するとしたらこの左肩〜右肘にかけての線をさらに地面と直角に近づけることだろうか?

左右逆版

 ダイのことではなくてサービスそのものの技術解説のようになってしまった。ついでなのでもっとつづけよう。

インパクト時身体は開いており、ほぼ打球方向を向いているのもフラットサーブでは模範的、というのも、プロネーションは身体が正面を向いた方向におこなうことが基本(自然)だからである。よく身体が横向きのままスイングすると誤解している人がいるが、それではおおきな推進力(前にラケットがふれない)は生まれない。(スピンサーブはまた別の話である。大雑把にいえばフラットは縦-後ろから前へ-、スピンサーブは横-左下からー右上へー、がスイングの流れである)。

 ダイは小柄で非力であり、そこだけが惜しいが、それゆえのこの合理的なフォームなのだろう。グリップはやや薄めのフォアハンドイースタン。(by TOSHI)

 

 

(by TOSHI)

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