アジア選手権観戦報告その3

 台湾事情

 方同賢のことをもっと書こうとおもっていたが、よく考えれば、なにも書くことが無い。彼は批評の対象となるような試合を、個人戦を含めて、今回たった2試合しかしておらず、書きようがない。まあ、試合数の少なさはどの選手も同じだが、郭旭東が全く情けない試合をしたため、立っていただけみたいになってしまった。ともかく彼は今回まったく目立つことなく大会を終えてしまった。団体戦は中堀・高川があまりにすばらしかったのでどうしようもなかったが・・・

 試合数がすくないのは大会そのものの責任でもある。大会の運営については後で触れたいが、結局、昨年の世界選手権で指摘したことをそのまま書くことになりそうである。昨年の大会では韓国vs.日本という黄金カードがなかったが、ことしは韓国vs.台湾がなかった。ドロー上しょうがない、というのだろうが、それではあまりにそっけない。一年に一度の国際大会である。なんとかしないともったいないし、折角大金をかけてやった大会の意義が薄まる。上位選手がしのぎをけずるぎりぎりの真剣勝負をたっぷりみられる、そんな大会にしてほしい。ソフトテニスはまだあたりまえに運営していいほどそれでよしといえるほど、国際競技としては成熟していない。日本で開催という機会を捉えてできるかぎりの努力をはかるべきだったと思うし、それでないと大会をやる意味がない。そういった面からはこの大会をとても高く評価することはできない。課題と思われることはすべて次回に持ち越しとなった。多分、課題にすらあがっていないのだろう。前回国内で国際大会が開かれたのは1995年の岐阜世界選手権だが、明らかにあの大会より後退がみられるからである。

右上画像はセンターコートからみた会場全景。このセンターコートを有効に活用してほしかった。すくなくとも岐阜ではもっとうまくつかっていたのに、どうしたというのだろう。

 方同賢は昨年の世界選手権の団体戦では完璧な前衛ぶりだった(プレヴュー参照)。これ以上なにを望もうか!!というほどのすごさだったわけだが、評価としては葉育銘に次ぐ大会NO.2前衛にした。これは個人戦での不出来もあったし、3番目NO.2ダブルスでの戦いだったことも影響している。さて今回はその評価が定まるかにみえたのだが、全く不発に終わった。彼は今回ほとんどないにもしていない。昨年はその自信に溢れる態度、闘志にびっくりしたものだが、それもない。また、劉家綸のダブルスで特に顕著なのだが、とにかく今回の台湾前衛は勝負をかけるのがおそい。これはなぜか?ポジションが悪いのである。昨年の台湾前衛陣はその大胆きわまりないポジショニングで韓国、日本を翻弄した。それが今回全くない。なぜか?調整不足、もっといえば練習不足である。
 左画像は練習中の方同賢(ファントゥンシン)。

 方同賢は今回時間があれば基本的な練習を丹念におこなった。そばでじっくりみせてもらったが、実にすばらしい技術とはいえ、出来上がっていないことは明らかで、ボールを完全につかまえきれない、ちょっとしたコース変更に対応がおくれる(これはかなり高いレベルのことをいっている)。

練習十分の超一流前衛の練習での素晴らしさというのは筆舌つくしがたいもので、ほとんど麻薬的な魅力がある。練習すればするほどボレーというのはコンパクトにシャープになっていくが、そのシンプルさはいつまでみていてもあきないものだ。ただの基本ボレーの練習がである。全盛期の斉藤広宣選手のボレー練習をみたことがあるだろうか。あれほど美しいものを探すことはむずかしいくらいである。ボレーというのはソフトテニスの技術の中でもっとも刹那的な技術であり、一瞬の緊張の中にすべてが集約されなければならない。練習を充分につんだ一流中の一流(つまり超一流)のボレーヤ−(どの時代にも2,3人しかいない)はその一瞬へむけてのリラクゼーションがまずみごとで、そこからの柔らかい筋肉の躍動が陶酔的なのである。タッチは充分にハードでそしてこのうえなく柔らかい。こんなことは不可能なはずなのだが、それを軽々実現してしまう。叩くという表現もプッシュという表現もあたらない。包み込むようなとでもいおうか。このニュアンスを伝えるのは全くむずかしく、すくなくともいままでにこれはという表現を聞いたことがない。まさにボレーの奥義といえ、やはりいいものをみるしかない。盗むしかない。
右画像は斉藤広宣選手。今大会はダブルスのデフィンデイングチャンピオンとして登場。しかし個人戦のみの出場とあって、調整が難しかったか、もうひとつのプレーに終わった感がある。個人戦での北本・斉藤に注目している人は多かったのだが・・・

 台湾は今回の代表決定戦を当初6月に行うとしていた。7月にはその代表での合宿が始まることになっていたからだ。しかしそれが7月にのび、また8月にのび結局それは9月まで日延べされることになる。台湾の連盟内部での事情かいろいろあるようだ、佐賀で当初2週間はやりたいといっていた合宿も3日間と大幅に短縮されている。4大国際大会のなかでこのアジア選手権がもっとも軽視されているのは事実だ。これは韓国、台湾の関係者もはっきり口にする。しかしだからこそ大会開催にもっと工夫が必要だ。今大会をみて大会そのものを否定する意見もあるらしいが、それには組みすることはとてもできない。やはり大事な大会だ。わずかしかない国際大会をへらしてしまうなんてとんでもない。リストラしなくてはいけない大会はほかに山ほどある。この大会に必要なのは工夫してなにか意義をみつけること、あるいは付加することなのだ。ゆめ判断をあやまってはならない。これは別項で。

左上画像は表彰台での台湾男子。左から劉家綸、方同賢、簡安志、謝敏弘、郭旭東

 このサーフェ−スがレベルを下げる

 予選を砂入り人工芝でおこなうなど国内でも同サーフェースがかなり普及している台湾に関してはコートサーフェースはそれ程問題ではなかった。やたらすべりまくってはいたし、プレーに影響がないとはとてもいえなかったが、すべりなれているというか、妙なすべりかた(そう砂入人工芝は妙なすべりかたをする)をしてもシューズをみるなんてことはなかった。韓国選手はやたらシューズを気にする。彼等はやはりすべりなれていない。ただ台湾関係者は「このコートは砂がおおい」と不満をもらしていた。たしかにメインとなった表側の4面はやたら砂がおおく、とくにすべりやすかったようだ。
 日本選手もよくすべる。大事なところでよくすべる。見ている側は興醒めになる。すっかりなれているはずの日本選手があれほどよくすべるというのは技術力でカヴァーすることが難しいということだ。これは課題でなかろうか。メーカー側のである。日連が指導してなんとか改良につとめてほしい。コートメーカーだけでなくシューズメーカーもだ。このコートはこのままだと競技のレベルをさげる。いやすでにさげている。すべった!あっ、またすべった!!こんなのはうんざりだ。

観戦記その4続く---->


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上位入賞者一覧

右画像はマレーシアのHussin ARI。何度も国際大会に出ているベテラン。38才、高校の先生。


参考