アジア選手権観戦報告その4
中国にはがっかり すくなくとも中国はバンコクでのアジア五輪までは4強だった。今年8月に開催された第一回チャイニーズカップのプレヴューになんの留保もなく4強と呼べる存在、と書いた。 実際に岐阜やバンコクにきているメンバーで今大会にのぞんでいたら、このレベルなら優勝の可能性もあった思う(男子)。誤解しないでほしいのだが、それほど今回がレベルが低いということではなく、それほどかっての中国は強かった、といいたいのだ。今回あらわれた中国はいったいなんなのだろう。能力的には高い選手はいる。 でもそれは中国がソフトテニスに参加した当初からいわれていることで、中国にのぞまれているのはもうそんな段階をとっくにとおりこしているのだ。左下画像は張卓、右画像は王芳。ともに中国。王は今年四月の女子選抜に来日している。この王芳(WANG FANG)はうまい。ボールのクオリティがもう一つだが個々のテクニックでは日本を上回る部分がある。というより1983年生まれの17才(テニスをはじめて5年に満たない)ということを考えるとそのテクニックは抜群といえるのでないか。またゲームのテンポ感が自由自在でみていておもしろい。個人戦では石川・鎌田とせりあい3-5で惜敗。今後楽しみな選手だ。ペアを組んだ蒋(JIANG Ting)もスマッシュ力が日本前衛を遥かに凌駕し、やはり技術的に高い。ただ女子は1995年の岐阜世界選手権ではシングルスで上位を独占しており、それを考えるとやはり後退している。 中国は代表メンバーを一新した(以前のメンバーは、男子では、たしか二人だけ)。それはべつにかまわないがテニス自体も一新した、というよりは、実際には0にもどってしまった。ふりだしにもどってしまった。いままでつみあげてきたものはいったいどこへいってしまったのか!!中国にはがっかりである。 男女ともかろうじて、ベスト4はキープしたが、こと男子に関しては、4強とよぶのは今回はよす。フィリピン戦では5番勝負までもつれ、よれよれの勝利(ただこの試合はおもしろかった。あまりみている人がいなかったのが残念なくらいに)。フィリピンvs.タイはやはり3-2、モンゴルもおなじくらい力があるので今回は3強プラス4となる。つまり中国はBグループ転落というわけだ。3強との差は台湾戦で僅か1Gしかとれなかったことでもあきらか、しかもこの試合台湾は劉家綸をはずした布陣である(台湾はもともと同型といえなくもない中国を苦手にしているのだが・・・)。
躍進!!タイ男子!! もっともこのBグループの躍進も見のがせない。タイ男子はなんと韓国から一点とる、という歴史的な事を成し遂げた。シングルスでSIRISAP CHANAPONG(スリサップ・チャナポン右画像)が方峻煥(バン・ジュンナム)を破ったのだ。方峻煥は団体戦では緊張が強く力がでていなかったとはいえ、SIRISAP CHANAPONGのテニスはショートボールとロブをうまくつかった見事なテニスであり、フロックと簡単にはとてもかたずけられない。むしろ今後の脅威とうけとったほうがいい。タイは楽しみなチームになってきた。
そのタイに辛勝し中国に惜敗したフィリピン男子はすでにお馴染みのメンバーだが、実力アップはうたがいがなく、あとは強い相手との試合馴れだけではないか、という気さえする。もちろんタイもフィリピンも細かいことをいえば課題はいっぱいあり、一朝一夕にうまくはいかないだろうが、全く違う価値観のもとに手垢に染まっていないソフトテニスを構築しており、期待が高まるのである。 また驚いたのは、タイとフィリピンの何人かの選手が、本気でとりくんでいるな、と唸らせるような、本物のカットサーブをみにつけていたことである。これは実際おどろくべきことで、日本選手であれだけのカットが打てる選手はほんのひとにぎりである。カットの本家である台湾選手がミスするほどの切れ味といえば、その威力がわかってもらえようか。そしてまさに彼等のカットは正統派?台湾流である。これは女子も同じ。
あとは強い相手との試合なれだけ、と書いたのは
彼等が日韓台などとやったとき、きびしくせめられた時のディフェンス(これが一番大事なのはいうまでもない)が全くできていないからで、それは普段自分たちでやっているだけではその必要性を感じていないからであろう。彼等、とくにフィリピンは、実に真剣に取り組んでおり、聞いたこっちがびっくりするほどだが、もうすこし試合のチャンスをあたえてやりたいな、と思うのである。彼等が出場できる大きな国際大会はいまのところ2002年のアジア五輪までないのである(来年の東アジア五輪は東南アジアは参加できない)。なんと2年近く、空くことになる。これでレベルアップをはかれ、といったって無理というのもだ。この大会や世界選手権はなんとしても毎年ひらけるようするべきではないか。無理を承知でいっているわけだが。フィリピンとかそういった国で日本や韓国の援助のもとに大会を開催するなんてことももっと考えられていいのではないか。
左上画像はフィリピンのDE LEON Wenifredo JR.この選手はほんとうに上手い。前回1996年の大会でシングルス三位の堂々たる実績もある。このときはベスト4に日本選手ははいっていない。またこのとき団体戦において元世界チャンピオンの劉・頼(台湾)とファイナルゲームまで競っている。 右画像はバングラデッシュのSK.MOINUDDIN WALIULLAH JHELUN 三強とは全く勝負にならないが・・・ 以前の3強以外の国というのはクラシックなローンテニス(あのケン・ローズウォールのような)をそのままソフトテニスに持ち込んでいた。今回でもバングラデッシュなどはそうである。優雅で気品があるが、グリップがうすすぎいかにも力弱い。当然(?)サービスはすばらしいが。 いやグリップが薄いことはそれほど問題ではない。アメリカのスティーブ・オリバーなどは薄いグリップからむちゃくちゃに速いボールを打つ。要はそのコンセプトがかわったということだ。 タイやフィリピン、そして中国はちがう。モダンローンテニスをソフトテニスに持ち込んでいる。もちろんサービスもすばらしいが、ストロークも違和感があまりない。最近のローンテニスは厚めのグリップからのフラットドライブが主流になっているからだ。これはそのままとはいかないがソフトテニスにも応用しやすい。 モダンローンテニスの脅威、といえばShi-Ting WANGを忘れてはならない。のどもとすぎればなんとやら、というようにあの恥さらしな出来事をわすれてはならないのである。まあそれはさておき、Shi-Ting WANGはまさに厚めのグリップからのフラットな選手であり、その技術をわずかの期間にソフトテニスにアジャストさせ、世界チャンピオンになった。これはもともとフラットな選手だからできたことなのだ。彼女の打法を強烈なトップスピンと思っているひとがいたらそれを訂正してほしい。彼女はフラットな選手だ。これは本人にも確認した。
 問「あなたはフラットスタイルのグラウンドストローカーだと思うが・・・」 WANG『イエス、私はフラットスタイルだ』 問「うまくソフトテニス適応できたのか?」 WANG『最初は全然ボールが飛ばなかった』 問「ソフトテニスをやったことがあなたのローンテニスにどういう影響をあたえると思うか?」 WANG『きっとみんなバックネットをこえてしまうわ(笑い)』(1999.12.13談)
このインタヴューは昨年の世界選手権団体戦が終わったあとにweb-master自身がおこなったものから抜粋した。WANGは現在WTAから完全に引退。大学(国立体育学院)にもどり勉学に励みながら、なんとゴルフプロを目ざしてトレーニング中との話しもある。来年5月の東アジア五輪に出場とのうわさもあったが、それは多分、無い。2002年のアジア五輪への出場の可能性は残されているが、それも台湾関係者の希望的観測にすぎない気もする。
まさか(以前の)ボルグのようなぐりぐりのトップスピンを未だにソフトテニス打法なんて思っている人はいないだろうが・・・今考えるとなぜあれがソフトテニス打法といわれたのか不思議な気がするが、当時はそれほどローンテニスとソフトテニスは異質なものだったのだ。しかしボルグ、コナーズの登場によるパワーテニス時代の到来、そして用具の改良により両者はどんどん接近してきた。ソフトテニス側の変化もそうだ。これはおもにボールの改良がおおきい。バウンドが高くなり昔(大昔)のこすりあげる打法が必要無くなった。理論だけはいまだに残っているし、超壮年プレーヤーにそのなごりがみられるが、現在はやはりフラットドライブが主流である。 右の画像はシニアツアーでのボルグ(1996有明)。彼もシニアツアー転向以降はトップスピナーからフラットドライブに移行しつつある。特に彼を強烈に特徴づけていたバックハンドはレギュラーツアー時代とはまるで別物だ。進化したのである。 もちろんフラットドライブはずうっと以前から存在し、
ローンテニスの根幹をなす打法だったわけだが、パワーテニス時代(用具の革命的な変革時代が重なる)の到来以降のそれは前時代のそれとはまったく異質だ。アガシをみよ、キーファーをみよ、クルニコワをみよ!!
 モンゴルは違う。以前も書いたがモンゴルは日本の愛弟子である、と思っていたが韓国そっくりのバックハンドを打つ選手がいてびっくりした。なかなかしたたか?である。ここの男子選手は身体がごつくてそれこそ韓国選手と見間違えるほどたくましい。テニスが大好きという感じでプレーしたくてたまらないという風に、個人戦の初日に全ての試合終了後、他の国の選手がすべてホテルにひきあげたあとも、練習ゲームをしていたのが印象的。またある選手は韓国の全寅修と乱打していたが、打球力にはまったく遜色がない。試合をすると三強とは全く勝負にならないのは他のBグループと同じだが・・・
続く----> 右画像はモンゴル女子選手
観戦記その3「台湾事情」へ
観戦記その2「日本vs.台湾」他へ
観戦記その1「完勝!!日本男子」へ
男子団体戦結果
女子団体戦結果
男子ダブルス結果
女子ダブルス結果
男子シングルス結果
女子シングルス結果
上位入賞者一覧
右画像はフェアウェルパーティーでのインドネシアチーム。ここはレベル的にはもうひとつ。 参考
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