アジア選手権韓国代表考2 男子編 part-1 国家代表選抜戦観戦記〜本戦プレヴューとして

韓国は今年節目の年

2010アジア競技大会シングルス優勝のイヨハン。ソフトテニス選手(男子)としては2大会振りに金メダルを奪い、兵役を免除された。この試合後のプレスカンファレンスでもそのことについて言及。

韓国では今年、大きな動きがあった。これは4年毎にくる波のようなもので世界選手権が終了すると韓国球界は動きをみせる。

女子の場合は有力選手の引退、男子はそれプラス若い選手の入隊(軍隊入り)がある。

韓国人の男子は兵役の義務があり、ほぼ例外なしに2年あまりの軍役につかねばならない。それを逃れる術は、ほとんど、無いが、その数少ない、いやほぼ唯一のチャンスがスポーツで優秀な成績を残すことである。

しかしそれはオリンピックのメダリスト、あるいはアジア競技大会で優勝という途方もないレベルを要求される。オリンピック種目でないソフトテニスの選手たちは4年に一度のアジア競技大会で優勝するしか兵役を免除されるチャンスはめぐってこない。

普通は大学在学中に休学し兵役につくことがおおいといわれる。社会人となってからでは人生設計におおきな支障がでるからである。しかしスポーツエリート達はぎりぎりまで可能性を追求することがおおい。入隊は29歳までという制限があるので、そのタイミングはほんとにむずかしい。アスリートとしてなにかを成すには20代が勝負なのはいうまでもない。

サンムが築いた80年代黄金期

2007世界選手権で単複二冠を獲得したキムジェボク。しかし2006アジア競技大会は銀メダルに終わり、2010広州アジア競技大会では予選敗退し代表入りならず、その後に入隊。このほど予備役となり選手に復帰。これはご本人から複写させて頂いた写真。

兵役による競技生活の中断は韓国スポーツ界の悩みの種で、その影響を少しでも回避するために軍隊内にサンム(尚武隊)というスポーツエリートのための部隊をつくった。

これは軍隊実業団といえるもので、さまざまな制約があるとはいえ、軍属のまま競技をつづけることができる(プロサッカーKリーグにもサンムは参加している)。

もちろんだれでも所属できるわけでない。えり抜きのスーパーエリートのみがサンム入隊を許される。

かつてはソフトテニスにもこのサンム所属の選手がいたのだが、20世紀末に韓国をおそった大不況のなかでオリンピック種目以外のサンム隊はリストラされてしまった。

1980年代後半の韓国ソフトテニスの最初の黄金時代はこのサンム隊によりつくられており、数々の名選手を輩出している。その印象があまりに強いためか、いまだに韓国というと軍隊チームと思っている人が多い。しかしソフトテニスサンム隊は10年以上前に消滅している。もとサンムで現役を続けている人もほぼいなくなった。

そこまで頑張るか それとも入隊か?

今大会でのペウオンソン。2010アジア競技大会でダブルス、シングルスとも銀。金と銀の違いがあまりにも大きい。ぺ・キムはここ数年間の韓国の顔というべき存在だった。

話しをもどす、20代半ばとなりアジア競技大会の出場が成らなかったり出場しても金メダルを獲得できなかったりすると兵役はもう現実問題だ。次のアジア大会が29歳になるまでにめぐってくるならそこまで頑張るか。それともここで入隊を決断するか?

例えば2010アジア競技大会でダブルス、シングルスともに銀メダルに終わったペウオンソンは今そういう立場にある。大会期間中(4月)、牧場を経営しているというペウオンソンのお父さんに話しを聞く事ができたが、この時点では2014年アジア競技大会(インチョン)まで頑張るか、それとも入隊かの結論はでていなかった。

後者の場合、アジア競技大会での(金メダル獲得という)夢やぶれた直後にそのまま軍隊へ、という例は実は少なくて、翌年の世界選手権にチャレンジして、その後入隊というパターンが多い。というのも世界選手権(オリンピック種目にはある)は兵役免除のオプションこそないもののメダリストとなれば国家から生涯年金がもらえるシステムがある。これはポイント制になっていて世界選手権はアジア競技大会の倍以上という格づけになっているのである(オリンピックほどではない。オリンピックは更にその倍)。

プロフェッショナルである彼らにとって生涯賃金にかかわるもっとも重要な大会が世界選手権といえ、多くの選手が世界選手権の予選が一番ビビる、という(若い選手ならアジア競技大会の予選というだろうが)。

アジア選手権、東アジア競技大会には兵役免除とか年金ポイントというようなオプションがない。そのためにこの時期に兵役に行く選手が多数でるということになる。 というわけで、女子ほどではないが男子の予選参加の顔ぶれもやや寂しいものとなった。女子ほどでないというのは選手層が厚いためだ。
それでも引退した選手、移籍した選手、入隊してしまった選手で昨年とはまるでちがっている印象をうけるほど。昨年の予選一位だったキムジュンユンも入隊。また若手NO.1の呼び声も高いナムテクホ(ドーハアジア競技大会代表)も軍隊へ。2007年の世界選手権で活躍したホキョンジョンも入隊した。昨年のドンフンのペアだったキムジュゴンも軍隊へ。

昨年入隊し現役活動を停止している主な有力選手。左からナンテクホ、キムジュゴン、ホキョンジン、キムジュンユン。いずれも代表経験がある。

以下全文はコチラをクリックhttp://www.soft-tennis.org/overseas/asian-championship/2012/003.html







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