もたつく王者韓国  広州アジア競技大会レポート

デイリーレポート 13日 国別対抗団体戦 stage1その3 広州アジア競技大会レポート

話をセンターコートにもどそう。

日本vs.中国(男子)のあとにスケジュールされていたのは韓国vs.中国(女子)。

中国女子は6月のチャイニーズ カップ、7月のNH open(韓国)で旋風を巻き起こした。シングルスではチャイニーズで上位を独占、NH2010でも決勝に進出。Imgp9594

なかでもエースツァオレイは韓国のキムキョンリョン(2008アジアチャンピオン)、台湾の江婉綺(2006アジア五輪チャンピオン)と並んで他を一馬身以上引き離しているのでないかと思われるほどの力をみせた。

この3人のなかではツァオレイだけがタイトルがないが、ハードコートという条件下ではむしろ彼女のほうに分が有るかもしれない。

ドーハでキョンリョンをいきなり破り会場を激震させた彼女だが、その衝撃が4年たった現在の薄れるどころか、前述の今年の活躍で増幅された感さえある(左画像はドーハでのツァオレイ)。

この選手一時期サンライフ(現ワタキューセイモア)に籍をおいたことがあったが、すぐ帰国、その後ほどなく引退と伝えられ、昨年の段階ではアジア五輪出場はない、との話もあった。だからチャイニーズカップに登場したときはちょっとおどろいたものだ。

しかもこの時点でかなりトレーニングを積んでいたことがすぐわかるほど充実し、 あきらかに2007年の時点より上のステージにあがっているように感じられた。日本は手も足もでずに破れ(江婉綺にも)、この時点で日本のコーチ陣は腹をくくったのではないか?江婉綺も含め、日本のシングルスと台湾、中国との差は生半可なものではなかったのである。韓国のキョンリョンとの差も同じだ。

Cimg1290ツァオレイ(中国)↑これは今回の対戦で。

そんななかでの韓国vs.中国。韓国はディフェンディングチャンピオンであるとともにドーハ以降の国際大会団体戦3連勝しているチャンピオン国である。予選リーグで中国とあたるというのはドーハ大会と同じ展開。

WOMEN’S TEAM Competition stage-1 Group A(Round Robin)

KOR2-1CHN
KIM Ae-Kyung/ JOO Ok 5-0 GAO Tong / QIU Sisi
KIM Kyung-Ryun 2-4 ZHAO Lei
KWON Ran-Hee/PARK Soon-Joung 5-4 HAO Jie / XIN Yani

試合開始予定は13:00の予定だが実際には15時近くにはなっていたとおもう。終了は17:58。3時間強という熱戦。

 

Cimg1316ダブルスにおける中国は雁行陣でロブ主体(というかほとんどロブ)であり、そのボールがまた良くコントロールされていて深い(←左が中国の劉女子監督)。

中国女子には男子と同様の問題がやはりあるが、一つ大きなちがいがある。

それは選手の個々のポテンシャルが高いということ。後衛、前衛ともに技術レベルが高いし洗練されている。

男子にはあまり感じられないその洗練度はポテンシャルの高さを示していると思う。

中国は硬式協会と軟式協会は実質同一のものといってよく、今回の選手も基本的には硬式キャリアである(シン・ヤニはバドミントン出身ときいた)。

乱暴ないいかたをすればこの男女の差はそのまま中国の硬式テニスレベルの男女差といっていいのかもしれない。ご存知のように硬式テニス中国女子は現在世界の一等国である。今年はじめの全豪オープンではシングルスベスト4の半分を占めた(リー・ナ、ジェン・ジー、リーナはハンチコワ、ウォズニアッキ、ヴィーナス・ウィリアムスを破っての堂々のベスト4)。WTA最新ランキング(12.6付け)にも11位のリー・ナを筆頭に100位以内に4人をおくりこんでいる(日本はクルム伊達(56位)、森田あゆみ(73位)の二名)。北京五輪にむけての強力な強化の成果が見事にでているが、中国男子選手の名前は聞いたことがない。実際に2010.12時点でATP100位に一人もいないという好対照だ(日本、台湾が一名づついる)。

ただダブルス2試合の関してはあまり語るべきところがない。

実はもっと違うテニスを期待していたのだが、意外に泥臭いテニスで肩すかしをくったかんじだ。

見事にコントロールされたボールは実に深く、感心しきりだが、それだけだ。簡単には負けないが同時に勝ちきることも難しい。

特に速いボールがないことがダブルスでは致命的である。

もっとも今の段階で速いボールを打ったとしてもおそらく簡単に負けてしまうであろう。

ダブルスはむずかしい。圧倒的にキャリアがない。実戦経験がないのである。

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しかし、そんな中国に王者韓国はえらくもたつく。

エース キムエーキョン・チュオクはさすがに圧勝したが(中国は3−1−2のオーダー)、シングルスに破れたあとの3番。クォンランヒ・パクスンジュンは守勢一辺倒の中国ペアを攻めあぐね、先の見えない超ロングゲーム。ほとんど2時間(メモには1時間48分とある)におよぼうかという記録的な試合となった。ダブルスゲームとして最長ではないか?スコアは

クォン・パク(KOR) 5(8-6 5-7 4-2 9-7 2-4 2-4 4-0 3-5 9-7) 4 ハオ・シン(CHN)
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クォンランヒは韓国でも有数の強打者だが、当然、このサーフェースではその個性がまるでいきてこない。しかも典型的な左足加重の選手であり、つまり踏み込んでしかボールをさばけない。右足でためての打球することができないので、柔軟性が要求される、ハードコートではだんだん手詰まりになっていく。

(←左がクォンランヒ。右がパクスンジョン)

中国ペアにもマッチがあった(はず)このゲーム。もし中国が勝てば国際大会団体戦の対韓国初勝利となり歴史的な出来事となるところだった(日本には1997年–東アジア五輪–に、台湾には2007–アジア選手権–に勝っている)。

話が前後する。2番のエース対決、キムキョンレン vs.ツァオレイは今大会女子の最大見所のひとつ。期待に違わぬハイレベルのシングルス。このふたりは4日後の個人戦シングルス決勝でもふたたび顔をあわせることになる。分析はそこで行う予定。Cimg1297_2ツァオレイ再びキョンリョン破る!!

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キムキョンリョン(韓国)↑

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熱戦のつづくセンターコート。スケジュールは押しまくりである。この時点で他のコートはすべてスケジュールを消化していたが、センターコートはあと男子が2対戦。まず台湾vs.フィリピン、その後の初日のメーンイベント韓国vs.台湾が行われる。すでに照明には火がはいっている。終了は何時になるのか?

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フィリピンvs.台湾(中華台北)の開始は18:00(↑)。予定は15:00なので3時間おくれということになる。まわりは完全に夜。

フィリピン男子は2007のアジア選手権で団体ベスト4。現状では中国とのシード順は逆といっていいだろう。もしstage-1でグループBに入っていたら、かなりの確率でメダル獲得となったのではないか。先に書いたように中国、モンゴルとは実力拮抗。今大会を全体を見た感じではフィリピンがややリードしているように思える。個人戦をふくめて中国との対戦はなかったが、モンゴルとは個人戦で3度対戦し、フィリピンの二勝一敗。内訳はシングルス一勝、ダブルス一勝一敗。

この台湾戦でもシングルスで郭をファイナルでたおし、最終戦までもちこんだ。さすがにダブルスはまるで歯が立たなかったが・・・

MEN’S TEAM Competition stage-1 Group B(Round Robin)
C.TAIPEi(TAIWAN) 2-1 .PHILIPPINES
YANG / LEE 5-0 ARCILLA/ARCILLA
KUO 3-4 NOGUIT
LIN/LIU 5-1 MAMAWAL/MANDURIAO







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