日本の代表選考というのは実はかなり特殊・・・

男子シングルスプレヴュー 2013東アジア競技大会

今大会男子シングルスの中心の3人。左からキムドンフン、長江光一、ハンジュオン
今大会男子シングルスの中心の3人。左からキムドンフン、長江光一、ハンジュオン

ハードコートコンプレックスを解消?韓国

過去17度あった四大国際大会での個人戦シングルス、そのうち13回韓国が優勝と圧倒(後の4回は台湾)。しかし新ルール下ではやはりハードコートの攻略に苦労している。2004からの3連敗は(決勝にあがったのも2005だけ)それまで8連覇しているだけに屈辱的だったはず。

四大国際大会男子シングルスチャンピオンロール完全版。1993,1994、1998は個人戦シングルスは無し。2009は正式種目からはすされた年。
四大国際大会男子シングルスチャンピオンロール完全版。1993,1994、1998は個人戦シングルスは無し。2009は正式種目からはすされた年。

2010のアジア競技大会でイヨハンが優勝し、ようやく攻略に成功した。昨年のアジア選手権では実質ワンツーフィニッシュを成し、コンプレックスを解消したかに見える。

優勝したキムドンフンは過去3度国際大会に出場し個人戦で負けなしの3勝。これはバンジュンハンと並ぶ史上タイ、今年は新記録に挑む、さらに大邱カソリック大関係者として2007年のキムジェボクよりつづいている連勝記録の更新もある。これは現在5連勝中、とんでもない記録だ。

ちなみに今回の韓国代表には大邱カソリック大OBが3人いる。

ただそのアジア選手権の最後の最後でドンフンは長江に敗れた(団体戦決勝)。2008アジア選手権、2011世界選手権と団体戦で自ら優勝を決めたドンフンだが、昨年は真逆の結果。

この試合語るべきものはなにもない、世界選手権で二回にわたち重苦しい死闘を繰り広げたドンフンと長江、ドンフンはその幻影に負けた風で自壊してしまったのである。

長江との4度目の対決が実現すれば男子シングルス最大の見所といえるだろう。しかしだ。今のドンフンがシングルスにどれほど執着の執着があるかというと微妙、というのも現在の彼は重心をダブルスに移しつつあるように見えるのだ。選手として必然の変容を彼も遂げつつある。

シングルスのエースはドンフンにあらず・・・・?

だから韓国のシングルスにおけるエースはハンジュオンになるとおもう。

昨年、長江を倒して一躍注目をあびた彼だが、今年の充実はさらにすごい。知る限りで今期シングルスで3勝(3月会長杯、4月代表戦、8月コリアカップ)を挙げ、そのいずれもがハードコートでの成果である。代表選抜戦で少し見たが、昨年までの彼とはまるで別人である。国際大会を経ることで大きく成長する選手は枚挙にいとまがないがこれほどの変容はヤンドンフン(2007世界選手権ミックス優勝)以来かもしれない。

ヤンドンフンは2005年の東アジア競技大会が国際大会初出場だった。その時既にベテランの域にはいっていた遅咲きの名手である。次に国際大会に姿を現したのは2007年の世界選手権、見事にブラッシュアップされ、国際大会仕様にバージョンアップしていて驚いたものだ。

意外とクレーでの活躍が目立つ楊勝發

新ルール下のハードコート戦で3勝と最多勝の台湾。しかし2006年ドーハでの王俊彦の優勝を最後に決勝進出もない。地元開催だった昨年のアジア選手権においても個人戦、団体戦ともにシングルスではいいところがなかった。

予選一位は林佑澤。彼は昨年、高校生としてシングルス予選に優勝して代表となった。但し今年はダブルス予選に先んじてシングルス予選があったので昨年とは重みが違うかもしれない。4年前の国際ジュニアシングルスチャンピオンである。その後の成長は昨年のアジア選手権をみる限りではみることはできなかったし、今年の大学王座戦でもいまひとつ。

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林士淳は今回ダブルス予選一位(昨年二位)だが、もともとシングルスで頭角を現した選手である。2007年世界選手権団体戦準決勝では楊勝發・李佳鴻が花田・川村を圧倒したあとに登場し、篠原と対戦、大きくリードして日本を崖っぷちまで追いつめたことがある。

楊勝發は国際大会デヴュー後しばらく団体戦においてはシングルス要員だった。実は代表選考ではほとんどダブルスで勝ち上がっている。そんななかでシングルスで起用され続けたのは当初雁行陣志向の強かった彼がダブルスにおいて台湾男子の目指すところとズレていたのが大きな理由だろう。それでも印象的なゲームをいくつか残しており、基本的にはマルチな選手である。特に2008年アジア選手権で世界チャンピオンのキムジェボクを圧倒したゲームは凄かった。この時は韓国勢を連破し、準決勝まででている。そこでドンフンに完敗。シングルスでは、そのジェボク戦も含めて、クレーでの活躍がほとんどなのがおもしろい(2003年のイウォナハクとの熱戦も印象的)。

日本 団体戦ではしばしばビッグゲームに勝利

日本、何度も書くようにシングルスが導入されて20年、個人戦未勝利である。しかし、決して他国に比して特別に弱いわけではない、と思う。というのも団体戦においてしばしばビッグゲームをものにしてきている。1994年の高川、2000、2001の小峯 やはり2001年の高川(以上旧ルール)、2006、2007での篠原、そしてまだ記憶に新しい昨年の長江。1994年以外は日本は団体優勝を果たしている。2004、2005年と団体で勝てなかった年(ハードコート)シングルスは勝利しており(2004菅野、2005篠原)、団体戦でのシングルスの勝率は誠に素晴らしいものがあるといえる(2008-2011は決勝で3連敗)。

 

それだけに20年に及ぶ個人戦未勝利は異常、異様であるともいえる。過去日本特異のサーフェースである砂入り人狼芝で3度国際大会が開催されているがその3度とも団体、ダブルスを日本が勝った。しかしシングルスはいずれも韓国の勝利である。極端だったのは2001東アジア競技大会、このとき団体戦、日本は3−1で韓国を倒すのだが、2対戦あったシングルスにいずれも勝利している。相手はバンジュンハン。キムキョンハンという二人の世界チャンピオンである。しかし個人戦では韓国がワンツーフィニッシュとなった(優勝 バンジュンハン 二位キムヒースー)。

日本の代表選考というのは実はかなり特殊で、韓国、台湾、日本の3強で選手より監督(含スタッフ)先にきまっているのは日本だけである。韓国も台湾も代表選抜戦が終了し、選手が決まってから監督、スタッフが決定する。そこではじめてナショナルチームの成立となるわけだ。

選手選考に強化委員会の意思が反映されるのも当然日本だけである。ある意味、団体戦を戦う為のチームとなっているのは間違いないのだが・・・

今年は3人の元全日本シングルスチャンピオンがそろった日本。篠原秀典、増田健人、長江光一である(現チャンピオンの中本圭哉がいないのは残念だが)。

 

篠原は無敗のチャンピオンキムドンフンと予選リーグで同じブロック、ドンフンには過去2敗しているがそれは何れもクレーコートでの結果。同組には林士淳もいる。林士淳と篠原は2007そして昨年と単複で大勝負を演じており、ここはキツいブロックだ。

 

増田はもっとハード、ハンジュオンと楊勝發と同組。

 

第3シードにおかれた長江のみ予選リーグに強敵はなし(国際ジュニアでよかったキムボムジュンが不気味ではある)







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