レギュレーションの変更点 〜雑感その2 劣化する?国際大会〜 東アジア競技大会プレヴュー

第3回東アジア競技大会男子ダブルス決勝が決着した瞬間。中堀・高川が台湾のチェンアンチン・リュウチャルンを圧倒したゲームだった。準決勝も台湾。クィシントン・ファントゥンシンにタイブレークの大接戦。
第3回東アジア競技大会男子ダブルス決勝が決着した瞬間。中堀・高川が台湾のチェンアンチン・リュウチャルンを圧倒したゲームだった。準決勝も台湾。クィシントン・ファントゥンシンにタイブレークの大接戦。

シングルス導入初期のころ、アジア選手権と世界選手権においてはダブルスとシングルスが同時進行で両方にエントリー出来なかった。その場合は(ダブルス2 シングルス1 or ダブルス1 シングルス3)を選択を強いられたのである。

ちょっとこれは論外で、そのことでトーナメントはあまりに大きな犠牲をはらってきた。例えば1995世界選手権では前回(1991)ダブルスチャンピオンのチャンハンソクがシングルスのみの出場だし、1999世界選手権ではあの廖南凱、葉育銘(台湾)が個人戦ではシングルスにしか出場していない。2000年のアジア選手権では前年(1999)の世界選手権で優勝したキムキョンハンがダブルスにしか出場しなかった、等々,枚挙にいとまが無い。

2007世界選手権決勝風景。選手は準優勝のイウオンハク・アンドンイル(韓国)。イは広島大会に続く2大会連続の準優勝。決勝の相手はキムジュボク・キムヒースー。韓国がベスト4に3組。これは2003年大会につづく2大会連続の上位独占。
2007世界選手権決勝風景。選手は準優勝のイウオンハク・アンドンイル(韓国)。イは広島大会に続く2大会連続の準優勝。決勝の相手はキムジュボク・キムヒースー。韓国がベスト4に3組。これは2003年大会につづく2大会連続の上位独占。

解消されたのは2001年の東アジア競技大会より(東アジアは1997年大会でも重複エントリーを実現しているが代表枠は5)。この年から代表枠は6人となり、ダブルスに3組エントリーできるようになった。トーナメントの質が飛躍的に向上したことはいうまでもない。

この方式は2008年のアジア選手権まで続く(除アジア競技大会)。この間の個人戦ダブルスの充実、特に男子、は筆舌に尽くし難く、間違いなくソフトテニスの黄金期であったといえるであろう。

ところが、である。

2011年の世界選手権よりエントリー数は各国6人のままで個人戦の登録をダブルス2シングルス2とレギュレーションを再びかえてしまう。そのために前年のアジア競技大会ダブルス金メダリストであり、2008年のアジアダブルスチャンピオンの上原絵里がダブルスに出場しないという珍妙な事態となった。男子ではアジア競技大会ダブルス2連覇という究極の偉業をなしとげたヤンシェンファがシングルスのみのエントリーであった。

前とちがうのは両方にエントリーできないということはなく、単純に1枠減となった点だが(たとえばキムドンフン、キムキョンリョンは両方に出場している)、日本、台湾は単純にダブルスとシングルスに選手を振り分けている。いずれにせよ、トーナメントの質は急降下。2003〜2009の充実はどこへ?これは悪夢だとおもいこみたかったが、このレギュレーションは昨年のアジア選手権でも踏襲される、そして今回の1減。2011年にはじまった国際大会の劣化はもうとまらないのか?(劣化のきざしはこれだけではないがそれはまたいずれ)

第3回東アジア競技大会(大阪)男子ダブルスのメダルセレモニー。左からチ簡安志・劉家綸(台湾)、中堀成生・高川経生、ファンジョンハン、キムヒースー(韓国)。ベスト4には台湾2組と韓国、日本よりひとペアづつ。そのベスト4が激突した準決勝 郭旭東・方同賢(台湾)vs.中堀・高川、簡安志・劉家綸(台湾)vs.ファンジョンハン、キムヒースー(韓国)がともにファイナルの素晴らしいゲームとなり大会全編に白眉といえる。優勝した中堀・高川はペアとしてキャリア雄一の国際大会個人タイトルを獲得。
第3回東アジア競技大会(大阪)男子ダブルスのメダルセレモニー。左からチ簡安志・劉家綸(台湾)、中堀成生・高川経生、ファンジョンハン、キムヒースー(韓国)。ベスト4には台湾2組と韓国、日本よりひとペアづつ。そのベスト4が激突した準決勝 郭旭東・方同賢(台湾)vs.中堀・高川、簡安志・劉家綸(台湾)vs.ファンジョンハン、キムヒースー(韓国)がともにファイナルの素晴らしいゲームとなり大会全編に白眉といえる。優勝した中堀・高川はペアとしてキャリア雄一の国際大会個人タイトルを獲得。






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