『案山子とラケット~亜季と珠子の夏休み~』公開によせて

初のソフトテニス映画『案山子とラケット』がいよいよ明日公開(4月4日)となる。

1月に初号試写会を見て以来、いろいろ考えることがあったが、一般公開前の映画についてなにかを書くという経験がないので、考えあぐねたというのが実情だ、というのも私個人の映画に対するスタンスはできるだけ予備知識無しに、ということなのである(こういう人はおおいのではないか?)

ネタバレしない程度に『案山子とラケット』についてすこし書いてみたい。

案山子とラケット公式HPはこちら(上映館等の情報満載)

つくっちゃおコート!!

神和住正著『軟式庭球』旺文社1967発行の目次
神和住正著『軟式庭球』旺文社1967発行の目次

私が少年時代、つまりかなり昔に発行されていた軟式テニス教則本には、テニスコートのつくり方から書き起こしてあるものが少なからずあったように記憶している。私自身にもコートを『造った』記憶があるし、私の父の世代(戦中派)ではもっともっと常識的ことであった。

主題歌を提供したさだまさし氏のコメントにも同様のエピソードがでてくる(公式ページ参照)。

予告編冒頭で『つくっちゃおコート!』と主人公の少女が提案するが、コート作りはまさにソフトテニス、いや軟庭、いや日本の庭球、テニスの原点なのである。

強烈なアンチテーゼ

さだまさし氏以外にも公式ページにはソフトテニスに関わった有名人のコメントがよせられているが、いずれもソフトテニスの本質を見事に射ていて心洗われる思いである。星田氏(ほっしゃん)はカットサーブをもっとアピール、と訴え、小市氏はダブルスに特化されたソフトテニスのアイディンティティにふれた。

ちまたにはカットサーブ否定論が跋扈し、さらに本年より国体へのシングルス導入で、ソフトテニスは自らその個性を埋没させつつある現状があり、巧まずしてこの『かかラケ』プロジェクトは強烈なアンチテーゼとなった感がある。実に痛快である。

少しネタバレ 小市氏のプレーを実際にみた某メーカーのN氏が芸能界最強と激賞。名門明星仕込みのその華麗なプレーを楽しみしていたのだが・・・残念ながら映画には登場せず。ちょっとがっかり。しかし氏が演じた主人公の父が、ひょっとして元プレーヤーと匂わす台詞あり・・・・

1月23日に東京成城の東宝スタジオ内で行われた関係者を招いての初号試写会の様子。
1月23日に東京成城の東宝スタジオ内で行われた関係者を招いての初号試写会の様子。

ソフトテニスのサウンドを見事にとらえた・・・

現在からは想像できないかもしれないがこの競技は映像というメディアから完全に見放されいた(映像だけではないが)。20世紀は映像の世紀といわれているらしいがソフトテニスは全く無縁といってよかったのである。

いや現在でもプロの手による映像は極々すくない。ソフトテニスを主題とした映画がつくられると聞いたとき、私が一番期待したのはそこである。

プロの映像作家の手によるソフトテニス、しかも大スクリーン!!その成果は実際劇場で確かめてほしいが、一つだけ書いておきたい。

いや特筆大書しておきたいことがある。

それは音響のすばらしさである。

公式ページで柳美里さんが音についてふれているが、私もかねがねそのサウンドがこの競技の大きな魅力、独自性であると考え、折にふれ、うったえてきたつもりだ。

15年程まえからNHKで全日本選手権の録画中継がはじまり、またCS(ガオラ)で数年間プロショットによるプログラムが毎月放映された(CSは現在は終了)。NHKにしろCSにしろ、まだ『ソフトテニスの映像の世紀』は始まったばかりでありいろいろ不満はある。なかでもなにより不満なのはその音響、サウンド。ソフトテニスの音をまったく再現できていない、伝えていないのである。それをとらえるのは無理なのか、私はそう考えるようになっていった。

しかし、だ、この映画での音はどうだ、実に見事にソフトテニスのサウンドをとらえているではないか!!。正直このことが多くの人に理解されるかどうかは判断がつかないのだが、とにかく私はこのことにひどく感動したのである(試写会終演後プロデューサー氏にまずこのことを伝えたほどだ)。実に確かで見事な仕事であると思う。







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