イスヨルのカットサーブとハーフボレー〜ローボレー 2015世界選手権代表の技術

11月18日にインドニューデリーで開幕する世界ソフトテニス選手権韓国代表、イスヨル(タルソン)のカットサーブ〜ハーフボレー〜ローボレー。

いずれも現在テニスでは必須のスキル

以前も書いたかもしれないがハーフボレー現在では必須といえる。とくにハードコートが主流の国際大会においては前のめりのテニスとなることは必至であり、一層重要である。カットサーブ、ローボレーの重要性については今更いうまでもないだろう。

昨年(2014年)、韓国はアジア競技大会(インチョン)において完全優勝を果たしたわけだが、その大きな要因のひとつにカットサーブの完成度の高さがあるとおもう。とくにエースのキムドンフン・キムボムジュンのカットサーブの切れ、威力は2013年と比べるとまるで別物といっていいだろう。

2015アジアカップ決勝で船水・星野と対戦したイスヨル・パクキュチョル

初代表というのが信じられない

イスヨルは基本的にはベースライナーいわゆる後衛だが、所属チームのタルソンはやや保守傾向が強かったのか韓国の中ではダブルフォワードに対する取り組みがやや遅れた感もあった中で、若手時代から積極的に取り組んできた。

2015年代表選抜戦より
2015年代表選抜戦より

イスヨルをみた最も古い記憶は2006年アジア競技大会(ドーハー)の韓国代表選抜だったろうか。あれから10年近くたったわけだが、その間、彼は常に印象的な活躍を見せてくれ着実にチーム内での番手を上げてきた。

2010年の代表選抜ではシングルスで次点、昨年の代表選抜も同様。10日間に及ぼうかという長期日程で行われる韓国代表選抜戦で、ダブルス、シングルス両種目で常に上位をキープし、そのタフさアヴェレージの高さはトップクラス。今回、初代表というのが信じられないほどだ。すでに30歳の大台をこえていて、ベテランのいわれる年齢となってきたわけだが、それが似合わない若々しさ直向きさが好ましい。

2014韓国代表選抜戦シングルス(スンチャン)でのイスヨル。これは選抜戦最大の見せ場だったイヨハン戦でのバックハンド。彼のベストパフォーマンスといえる素晴らしい内容だった。ここを勝ち最終戦に進んだのだが・・・
2014韓国代表選抜戦シングルス(スンチャン)でのイスヨル。これは選抜戦最大の見せ場だったイヨハン戦でのバックハンド。彼のベストパフォーマンスといえる素晴らしい内容だった。ここを勝ち最終戦に進んだのだが・・・

30歳を越えて・・・

30歳をすぎて初代表というのは実に素晴らしい話だが、韓国では時々ある。そう珍しい事ではない。しかし、日本では、近年、まずない(昔はあった)。それどころか低年齢化がすすんでいる。国体の成年男子でも傾向は顕著(大学生がほとんどというチームが散見される)、複雑な気持ちになる。それが自然淘汰ならとやかくいうまい。そうではなくて多分に恣意的にみえるのは気のせいか?とこれは余談。

これは2013年の代表選抜戦ダブルス、この時のペアはなんとキムヒョンジュン(2015アジア競技大会シングルスチャンピオン)
これは2013年の代表選抜戦ダブルス、この時のペアはなんとまだ学生だったキムヒョンジュン(2015アジア競技大会シングルスチャンピオン)。この二人が一年後のアジア競技大会代表選抜シングルス決定戦で最後の一枠をめぐって激突することになる。

イスヨルに話をもどそう。(ネットプレーも含めた)オールラウンダーで派手さは無いが堅実、なんでもできるというような生易しいものではなく何にでも精通しているという風である。小柄なのが惜しいが、それゆえにか実に早くて速い。つまりコートカヴァリングが見事。あのマッツヴィランデルを想起させるほどだ。

これも2015代表選抜戦(4月スンチャン)より。大会3日目ダブルス決勝ラウンドでのイスヨル・パクキュチョル
これも2015代表選抜戦(4月スンチャン)より。大会3日目ダブルス決勝ラウンドでのイスヨル・パクキュチョル。キュチョルは2年連続3度目の代表。この人も遅咲きの名手だ。

これは2009年NH OPENにおけるホキョンジンとのシングルス。

 

 

ハーフボレーの定義について

ハーフボレーは、ここでみられるようなショートバウンドの処理を表す言葉なのだが、ソフトテニスにおいてはあいまいに使われがちな用語であり、その点が非常に気になる。ハーフボレーとローボレーの混用、あるいはハーフボレーとドライブボレー(ヒッティングボレー、73ボレー)の混用である。

用語(言葉)は重要である。

たしかに1993以前、つまりルールの大幅改正以前の雁行陣絶対王政時代には稀な技術であったハーフボレーだが、1994年以降の新ルール下ではそれ以前と比較を絶して重要性を増している。頻繁にみられる日常的な技術になってきた。しかしそれを表す言葉を持っていない人が多すぎる。

イースタングリップとコンチネンタルの混同も以前として存在しているのはおよそ信じがたい愚かさだが、ここでも同様である。断じてハーフボレー=ローボレーではないのだが、そう勝手に解釈して使う人があまりに多い。(もっとすごいのはローボレーをネットから離れたところで行うボレーと思っている人がおおいことだ。たしかにネットにベタずめ状態でローボレーはありえないのだが)。

2005東アジア競技大会3冠完全優勝 王俊彦(台湾)の裏面を使ったハーフボレー。

軟庭では慣例的にそうだったという人も必ずでてくるが、古い文献をあたるとハーフボレーは軟庭界でも正確に定義されている。

なぜ現在のようなややこしい事態にいたったのか?よくわからない、というか・・・・







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