今回、北朝鮮がソフトテニスに選手を派遣することは、報道で知っていた。しかし、大会前の公式練習には姿を見せず、やきもきさせた。監督会議には出席していたが、選手がコートに姿を見せたのは21日ではなかったか。
宿舎も他国の選手とは別で、常に警官の警備が付くという物々しさだった。ただ、本番には在日同胞の応援団が多数駆けつけ、北朝鮮選手団の首脳も会場に何人も姿を見せた。22日のリ・ジンミの初戦には、金日国(キム・イルグク)体育相も観戦に訪れたと報じられている。彼女らによせる期待の大きさが知れたのである・・・

「よくやった」よりも、「負けちゃったか」 中国が殻を破って以来すでに30年・・・・
北朝鮮女子の銀と銅は、実は、驚くような結果ではない。
北朝鮮が本気で勝ちに来ていることは、分かりきっていたし、しかもそれは無謀でもなんでもない。それだけの実力を備えている。
大会前にリ・ジンミを取り上げたのも、そのためである。杭州で尾上胡桃を破った選手が、名古屋でどこまで勝つか。メダルを取れるかどうかだけを見ていたわけではない。

リ・ジンミは準々決勝で韓国代表選考会1位のファン・ジョンミ、準決勝で日本代表選考会1位の宮前を連破し、決勝で天間麗奈に敗れて銀メダルを獲得した。
リ・ソヒャンも銅メダル。
北朝鮮女子は2人だけの派遣で銀、銅を獲得、日本とメダル分けた形となった。
「よくやった」というより、「負けちゃったか」。
それが正直な感想だった。
表彰式後の本人の言葉も、銀メダルを喜ぶものではなかった。
「銀メダルではなく、金メダルに向かって、練習し、また練習します」
銅メダルのリ・ソヒャンも「同じ気持ちです」と答えた。
日本、韓国、台湾の3強以外に、四大国際大会で優勝を記録しているのは中国だけである。
最初にその殻を破ったのが1995年の世界選手権。
その後も2010年アジア競技大会、2019年世界選手権に優勝している。
3度とも女子シングルスだったことは、偶然ではないだろう。
中国が最初に勝ってから、すでに30年以上が過ぎた。
そろそろ5か国目が出てもいい。
いや、競技の発展を考えれば、出なければなるまい。
名古屋で、その瞬間に立ち会えるのか。リ・ジンミに寄せていたのは、そういう期待であった。

聯合ニュースは、今回の銀と銅を北朝鮮にとってアジア競技大会ソフトテニス初のメダルと報じた。
北朝鮮女子には2012年アジア選手権(台湾嘉義)シングルスの銀メダルという先例がある。
この大会では決勝までドローに恵まれた面はあったが、決勝では杉本瞳を相手にチャンピオンシップポイントを握り、優勝まであと1ポイントに迫った。
リ・ジンミ自身もプレヴューで書いたように杭州で尾上を破っている。
今回初めて、国際舞台で勝負になる実力を示したわけではない。
出場の機会は限られる。それでも、出てきたときには優勝争いに関わってくる、はいいすぎだがうるさい存在になりつつある。
今回の銀と銅は、その実力がアジア大会という最高の舞台でしかも日本開催で歴史に刻まれたということである。
韓国若きエース ファンジョンミ 怪我に泣く・・・
準々決勝でリ・ジンミと対戦したファン・ジョンミは、今年の韓国代表選考会の女子シングルス1位だった。
引退したムンヘギョン、イミンソンに続くと期待されるNH BANKの十九歳。
プロ2年めの若手だ。

高校時代、2024の世界ジュニアU18(中国開催)では天間麗奈に敗れ準優勝。
NH BANK入団直後の2025東亜日報杯では日本の山本(ワタキューセイモア)と組み優勝。
さらに2025アジア選手権ダブルス二位(ペア イムチナ)で早くも頭角を現している。
ユウヨンドンNHBANK監督は、左利きのフォアハンドを強みとして挙げ、実業団入り後の成長を評価していた。
今年の3月の代表選抜最終戦(16人による双敗淘汰制)ではチョン・サンヒに3-4で敗れ、負部へまわったものの、その負部決勝でそのサンヒを4-0で破り、最終決戦ではイ・スジンに4-2、プレーオフで4-2と連勝して優勝(予選を含め4日間で14試合、13勝1敗)
ただその後の代表チームの練習中に疲労骨折を負い、約2か月間、十分な練習ができず。
今大会もその影響を指摘する声が(日本の関係者からも)あった。
それでも女子団体準決勝で台湾の江旻育に4-3、ファイナル11-9で勝っている。今回全く冴えなかった韓国女子の意地というか未来への光明をみせたといえるのか。
負ける気がしない・・・
そのファンとリ・ジンミの準々決勝 これは実は再戦になる。
韓国報道が「南北対決」として大きく扱ったこの試合について、リ・ジンミの説明は簡単。
「昨年のチャイナカップ準決勝で、ファン・ジョンミに4-0で勝ったことがあります」
「何のプレッシャーもなく、負ける気がしない感じでのぞめました」と嘯いた。※
今回もリ・ジンミが2ゲームを先行した。しかしファン・ジョンミは第3、第4ゲームを取り、2-2に戻している。リ・ジンミは第5ゲームを5-3で取り、第6ゲームも取って4-2で勝った。
競り合ったがそこまで。
準々決勝
リ・ジンミ(北朝鮮) 4-1 4-2 1-4 0-4 5-3 4-2 ファン・ジョンミ(韓国)

この試合(女子準々決勝四試合)、雨で試合が急きょ屋内に移り、各地から集まった在日同胞の応援団は準々決勝の会場に入れなかった。選手に同行していた朝鮮大学校のボランティアが携帯電話で試合を撮影し、応援者に伝えている。
続く宮前戦は4-0。
準決勝
リ・ジンミ(北朝鮮) 5-3 4-1 4-2 5-3 宮前希帆(日本)
ジンミは準々決勝で韓国代表戦一位、準決勝で日本代表戦一位と日韓の今回のエースを連勝したことになる。これはたいへんなことといわねばなるまい。

天間との決勝は3-4、ファイナル1-7。
リ・ソヒャンも準々決勝でタイ選手に4-2で勝ち、準決勝で天間に敗れて銅メダルを獲得した。
北朝鮮は今回女子選手2人だけの派遣、そしてその2人が表彰台へ。
「今大会はシングルスだけに出場するので、集中的に練習しました」
リ・ジンミはそう説明した。
朝鮮新報はこれを「朝鮮ソフトテニス界の快挙」と報じた。対して、選手が口にしたのは優勝できなかった悔しさだった。
応援について、リ・ソヒャンはノーカットニュースにこう語っている。
「応援が大きな力になりました。優勝してほしいという気持ちを分かって、力いっぱい試合をしましたが、結果が伴わず、申し訳ありません」
ジンミは「銀メダルを獲得しましたが、帰ってから欠点を見つけ、次の大会では必ず優勝できるよう努力します」とコメントを残したが、その次はいつになるのか・・・・来年の世界選手権にでてほしいが現状ではむつかしいか・・・



※選手の発言はCBSノーカットニュース(2026年9月23日)より。本サイト訳、2026年9月23日
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